がん罹患時の「生活」を支える各種制度
がんに罹患した場合、治療費を抑えることができる「高額療養費制度」や、確定申告を行うことで医療費の一部が戻ってくる「医療費控除」は知られていますが、生活を支援する公的制度なども存在します。
本記事ではこうした生活を支える制度である「生活福祉資金貸付制度」「生活保護」などを、対象者や窓口とともにご紹介します。
がんにかかって生活が困窮したときの制度
生活福祉資金貸付制度
都道府県の社会福祉協議会が生活資金を貸し付ける制度です。対象となるのは次のような世帯です。
●低所得者世帯
●障害者世帯
●介護を要する人のいる高齢者世帯
●失業者世帯
用途別に、貸し付けの条件や貸付資金枠・限度額が設けられています。
貸付利子の利率は原則として、連帯保証人を立てる場合は無利子、連帯保証人を立てない場合は年1.5%です。
ただし、新型コロナウイルス感染症の流行が続いていることもあり、緊急小口資金、総合支援資金(外部サイト)、 教育支援資金、不動産担保型生活資金などで例外があります。
手続きの窓口は、各市区町村の社会福祉協議会です。生活福祉資金についての詳細は「生活福祉資金(社会福祉法人全国社会福祉協議会)(外部サイト)」 で確認できます。
生活保護
病気で仕事ができない、収入が乏しいといった理由で生活が苦しい場合に、日本国憲法第25条に規定する理念に基づき、最低限度の生活を保障する制度です。
生活保護には以下の8種類(外部サイト) があります。
●日常生活に必要な費用に対する「生活扶助」
●家賃、地代、住宅の補修費に対する「住宅扶助」
●学用品、教材費、給食費、学級費といった義務教育の費用に対する「教育扶助」
●必要な医療に対する「医療扶助」
●必要な介護サービスに対する「介護扶助」
●出産費用に対する「出産扶助」
●仕事に就くための費用、技能・技術を身につけるための費用、高校等に通うための費用に対する「生業扶助」
●葬祭の費用に対する「葬祭扶助」
申請を行うと、福祉事務所のケースワーカーが、生活や仕事、資産状況などを調査その結果をもとに給付の可否や、その世帯にとって必要な扶助が決められます。
生活保護を利用する場合、民間の保険会社の医療保険に継続して加入できないケースがあります。自治体ごとに、保険料や返戻金によって継続できるか否かの判断が異なるので、民間の保険に入っている場合はその点も福祉事務所等への確認が必要です。
手続きの窓口は、各市区町村の福祉窓口や福祉事務所です。生活保護制度について、詳しくは「生活保護制度(厚生労働省)(外部サイト)」 で確認できます。
住宅ローンの支払い免除
銀行などの住宅ローンは、病気で就労が不能になるなどした場合、返済の方法を変更したり、猶予されたりすることがあります。また、疾病特約つきの団体信用生命保険(団信)に加入している場合は、支払いが免除されることもあります。詳しくは、住宅ローンを契約している金融機関に問い合わせてみてください。
子育て中の親の負担を軽くする制度
ひとり親家庭や、その子どもががんに罹患した場合利用できる制度も存在します。また、休職などによって収入が減ってしまった場合、所得制限により子どものいる家庭向けの手当てを受けられなかった家庭が支給対象になることがあるので確認することをお勧めします。
児童手当
0歳から中学校修了(15歳になった最初の年度末)までの子どもを養育している人に支給されます。所得制限がありますが、病気によって収入が減り、支給対象になるケースもあるので、確認が必要です。
手続きの窓口は各市区町村です。児童手当についての詳細は「児童手当制度のご案内(内閣府)(外部サイト)」 で確認できます
児童扶養手当
ひとり親家庭、18歳未満(障害があるときは20歳未満)の児童がいる世帯に支給される手当です。外国籍の人も対象になります。
受給資格者(ひとり親家庭の父母など)が監護・養育する子どもの数や受給資格者の所得などにより支給額が決められます。
手続きの窓口は各市区町村です。児童扶養手当について、詳しくは「児童扶養手当について(厚生労働省)(外部サイト)」 で確認できます。
障害者や障害児の医療費負担を軽くする制度
障害のある人や障害のある子どもががんにかかった場合に、本人や養育者が利用できる支援制度もあります。
心身障害者福祉手当
在宅の心身障害者に手当金を支給することにより、日常生活の支援、福祉の増進を図ることを目的とした市区町村の制度です。支給対象や支給額は自治体により異なります。
手続きの窓口は、市区町村の障害福祉担当です。
特別障害者手当
在宅で過ごす20歳以上の重度重複障害者に支給される手当です。なお、3ヶ月以上病院に入院している、施設などに入所している、一定以上の所得があるといったケースでは受給できません。
手続きの窓口は、市区町村の障害福祉担当です。特別障害者手当について、詳しくは「特別障害者手当について(厚生労働省)(外部サイト)」 で確認できます。
特別児童扶養手当
20歳未満の障害児を養育している人(父母など)に支給される手当です。受給にあたっては、養育者の所得制限があります。児童がその障害により障害年金を受給している、施設入所している、国内に居住していないといったケースでは受給できません。
手続きの窓口は、市区町村の児童福祉担当です。特別児童扶養手当について、詳しくは「特別児童扶養手当について(厚生労働省)(外部サイト)」 で確認できます。
障害児福祉手当
精神および身体に重度の障害があり、日常生活において常時の介護を必要とする20歳未満の障害児に支給される手当です。特別児童扶養手当と合わせて受け取ることができます。
ただし、受給にあたっては、扶養義務者の所得制限があります。児童がその障害により障害年金を受給している、施設入所している、国内に居住していないといったケースでは受給できません。
手続きの窓口は、市区町村の児童福祉担当です。詳細は「障害児福祉手当について(厚生労働省)(外部サイト)」 で確認できます。