がんの治療と家事・育児 の両立
家事育児をラクにする準備を
がんの治療と仕事との両立が難しいように、家事や育児との両立も非常に難しいのが現実です。むしろ終わりがない分、家事や育児のほうが困難かもしれません。洗濯物やゴミはどんどんたまり、子供は待ってくれません。
ですから、まず「いままでと同じようにはできない」ことを家族に理解してもらいましょう。
そのうえで、家族で分担できることは分担する、手抜きでも構わないと思ってもらうことも大切でしょう。
気持ちを切り替えて、自分ひとりで抱え込まずに、家族にSOSを出しましょう。治療を最優先に、家事や育児はその次くらいの気持ちになることが大切です。家事も育児も(あるいは仕事も)、完璧にこなすことはできないし、その必要もありません。
また、これまでやっていた家事や育児の項目をリストアップしてみるのも効果的です。一緒に暮らしている家族でも、意外に何をやったらいいのかがわからないものです。
リストになっていれば、やるべきことが家族で共有でき、優先順位を付けたり、分担を決めることも容易になります。
「省力化」「効率化」「人に頼る」を最大限活用
家族が理解してくれたら、「省力化」「効率化」「人に頼る」を最大限活用しましょう。
例えば、これまで材料を購入して作っていた料理を総菜やレトルト、冷凍食品に切り替えることで負担を軽減し、調理時間も短くできます。また、水や米など重いものは通信販売で購入することや、材料が必要分だけカットされたミールキットなどを利用するのも便利です。生協などの宅配や、レトルトや缶詰などの保存食品も最大限活用しましょう。
手作りにこだわる必要もありません。外食やテイクアウト、市販の惣菜や弁当なども積極的に利用して負担を減らしましょう。
また、自治体によっては、育児・家事支援のヘルパーやボランティアスタッフを派遣してくれる制度があるところもあります。市区町村にあるシルバー人材センターでも家事サービスを行なっていますし、民間の家事代行サービスの利用もできます。
育児についても、祖父母や親戚に相談してみましょう。信頼できるママ友がいれば、事情を話せば味方になってくれるはずです。自治体の保育園には緊急一時保育の制度もあります。緊急事態ですから、困った時はお互い様、遠慮している場合ではありません。通院の際に、一時的に預かってもらうだけでも負担は軽減できます。
親が病気・入院のときに子供を泊まりで預かってくれる自治体のショートステイを利用することも可能です。緊急事態に備えて、調べておくといいでしょう。
がんの治療中はもちろんですが、治療後も副作用が続くと、家事や育児をすることが難しい場合があり、もしかすると長期間になる可能性もありますから、頼れる人には声をかけて手伝いをお願いしておくことが大事です。
- 監修者
- 桜井 なおみ
- 一般社団法人CSRプロジェクト 代表理事 キャンサー・ソリューションズ株式会社 代表取締役社長 技術士(建設部門)、社会福祉士、精神保健福祉士、産業カウンセラー
大学で都市計画を学んだ後、卒業後はコンサルティング会社にてまちづくりや環境教育などの業務に従事。2004年、乳がん罹患後は、働き盛りで罹患した自らのがん経験や社会経験を活かし、小児がんを含めた患者・家族の支援活動を開始、現在に至る。