不安なのは自分だけ?
がんの疑いがあると言われたら、多くの人は大きなショックを受け、気持ちが動揺し、つらい気持ちになります。中には頭が真っ白になる人もいます。
でも、それは普通のことです。
その場で医師や医療スタッフから言われたことはなかなか頭に入りません。
自分ががんになったことを認めたくないと思ったり、涙が出たり、自分を責めたりする人もいます。
しかし、あなた自身を責める必要はまったくありません。どんなに気をつけて予防していてもがんになる時はなるからです。
がんであることがわかった場合、まず相談する人を見つけることが大事かもしれません。
最初は家族や親しい友人に話してみましょう。
それが難しい場合には、全国の「がん診療連携拠点病院」に設置されている「がん相談支援センター」のスタッフに話を聞いてもらうのもよいでしょう。
また、同じ病気になった人の患者会や家族会などがあるので、電話やメールで相談にのってもらうこともできます。
人に会うのがおっくうだという場合には、同じ種類のがんになった人の闘病をつづったブログを読むと、心が落ち着くこともあります。
また、自分の状況をほかの人に話すことで、考えや気持ちを整理でき、これからやるべきことがわかってくることもあるでしょう。
がんによって起こるさまざまな不安
さて、がんになったときの最大の不安は、まず治療のことですが、気に掛けなければいけないのはそれだけではありません。
①どこの病院で治療するのか
②治療にかかる費用はどのくらいか
③仕事が継続できるか
④生活費はどうするのか
⑤医療保険やがん保険はどこまでサポートしてくれるのか
⑥公的支援はあるのか
⑦さらに家族や友人にはどう伝えるか
など、さまざまなことが同時に頭に浮かぶはずです。
これらのことを同時に解決できる人はいません。また、1人ひとりで状況がまったく違うので、解決策も千差万別です。
だれもが気が動転しますが、そんな時は心配なこと、思いついたことをすべて、手帳にメモすることです。そして、1つ1つについて情報を集め、周りと相談し、じっくりと考え、解決していきましょう。
こうした問題を最初に相談できる場所として、全国のがん診療連携拠点病院などに「がん相談支援センター」が設置されています。
インターネット上にも解説ページはありますが、そうしたページでは自分から積極的に情報を探す必要があり、ある程度の知識のある人でないと有効に活用することができません。ですから知識のない最初の段階では、多くの人からさまざまな相談を受けてきた「がん相談支援センター」の相談員にざっくばらんに聞いてみることで、全体像が把握できると思います。
より詳しく調べるのはそれからで十分です。まず、全体像をおおまかに把握し、疑問や不安を整理し、それから情報を集め、整理することです。
精神的につらい時には
がんになったらだれでも不安になり、大きな苦痛を覚えるといいましたが、なかには普通以上につらい気持ちを抱き、眠れなくなったり、頭痛やだるさを覚えたりする人もいます。頭痛、動悸、だるさ、不眠などのからだの不調、さらに落ち込み、不安、集中力の低下、意欲の低下などの心の症状のために、日常生活に支障をきたした状態を「適応障害」といいますが、患者さんの約20〜40%は適応障害やうつ病を発症するとも言われています。
少しでもこうした症状が現れた時には我慢せず、担当の医師に相談するのはもちろんですが、精神科や心療内科などを受診することも考えましょう。自分だけで悩んでいてもなかなか解決には結びつかないものです。
インターネットなどには、自分で不安を抑える方法などが紹介されていますし、実際効果がある事例もありますが、まず専門家の意見を聞いてみることが大事です。
がんは、身体的にも精神的にも闘うには強敵ではありますが、がんと上手に付き合っていくと考えていくことも大切です。それには正しい情報を手に入れ、一人で悩まないで、身近な人や医療者に相談して、良い味方を見つけていくことも大切と思います。
【参考文献】
国立がん研究センターがん情報サービス「もしも、がんと言われたら」(外部サイト)
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