もとからあった良性腫瘍。精密検査を受けることに
きっかけはこの年に受けた会社の健康診断。診てくださった乳腺外科の医師から「胸に良性の腫瘍があります。良性だと思うけど念のため一度大きな病院で検査してください」と伝えられました。
これまでの健康診断でも乳房に良性の腫瘍があることは伝えられていたものの、その時担当して頂いた医師のように丁寧に診て、検査をすすめてくださったのは初めてでした。健康診断とは思えない対応がとてもありがたかったことを覚えています。私は医師の指示通り、その場で紹介された総合病院へ検査に行くことを決めました。
43歳、がんだったらどうしよう。言葉に出せなかった不安
検査には一人で向かいました。このタイミングではまだ家族にも伝えていません。
当日はマンモグラフィ、エコー、念のためにMRI検査も受けました。項目も多かったので検査は一日がかり。病院には仕事を休んで行きました。私はその時43歳。がんに罹患するなんて考えたこともなくて、MRI検査の結果を聞くまでは「がんだったらどうしよう」という不安が頭から離れませんでした。
検査を受けることは仲の良い同僚にだけ打ち明けました。当時の仕事は私ともう一人の同僚でひとつのチーム。自分が休む場合は、その分の仕事を同僚にお願いしなければならない関係だったので、とても信頼していたので話をしたんです。それ以外の人には伝えていません。
本当は「がんだったらどうしよう」と周りの人にも相談したい気持ちもありましたが、その言葉を口に出してしまうと、それが現実になってしまいそうな気がしたので、できるだけ言葉にして人に伝えないようにしていました。
検査結果は良性。経過観察も問題なく、通院を辞めようと思った
心配していた検査の結果は、良性。医師からは「良性なので心配しないでください」と言われ、ほっとしたことをよく覚えています。念のため半年から一年に一回の定期検査を勧められ、それ以降、経過観察することになりました。
定期検査は半年ごと。毎年2回の検査を受け続け毎回結果は異常なし。2013年の夏の健康診断でも何も問題がなかったので、徐々に健診を受け続けるのが億劫になっていきました。どうせ行っても結果は同じ。もう行かなくてもいいのでは?とさえ思っていました。
病院が遠いとか検査がつらいわけではないのですが、大きい病院ですから予約を取るのが大変でした。特定の時間しか予約の電話を受け付けてくれませんし、検査のために休暇を取らなければなりません。仕事の調整も必要ですし一言でいうと面倒に感じてしまいました。
半年に一回の定期検査とは別に会社の健康診断を年に一回受け、両方の検査で問題ないと言われており、自分は乳がんにはならないだろうと思いはじめていたのです。
安心していた矢先、がんの疑いを医師から告げられたのは2014年1月でした。