がんになりやすい性格はあるのか
最近では「心や性格と、がんとの間には関係があるのか」というテーマについても研究が進められていますが、いまのところ特定の「がんになりやすい性格」があるとはいえないようです。たとえば、気持ちがふさぎ込みがちな性格だったとしても、そのせいでがんになりやすいとはいえないということです。「ストレスを感じやすいほどがんになりやすいか」ということについても、性格の傾向とがんにかかる確率の関連性を示す信頼できるデータがあるわけではなく、明確な結論は出ていません。
心に蓋をしない
「がんに対してどのような心構えで取り組んだらよいのか」ということについても、いまのところ明確な答えは出ていません。したがって、「がんになっても無理に前向きになろうとせず、ありのままの向きあい方でよい」というのが当面の答えといえます。つらい時に無理をして明るく振る舞うことは,当人にとっては苦しいことですし,一時的に落ち込むことは,次のステップに進むためのプロセスとしては必要だといわれています。
大切なことは、自分の心を押さえつけたり、無視したりしないことです。
ただ、がんという病気とうまく付き合っていくためには、日々のストレス解消も大事です。そこで次に、自分でできる心のケアをいくつか紹介します。あなたに合ったケアの方法を見つける助けになるかもしれません。がん相談支援センター(外部サイト)や地域の暮らしの保健室などに相談するのもよいでしょう。
がんと上手につき合うために
・物事に優先順位をつける
がんの治療では、さまざまな問題に一度に対応を迫られることがあります。そのため、頭の中が混乱してストレスがたまることもあるかもしれません。もしも課題が複数あるなら、まずは箇条書きにしてみましょう。そして、優先順位をつけて最も大切なことから一つひとつ順に取り組んでいくようにすると、少しずつ気持ちが落ち着いていくでしょう。また、すべてを自分一人でやることは誰であっても難しいことです。そのため、医療者や家族、職場の方々にも協力してもらうといいでしょう。
・自分を責めない
「なぜ、がんになったのか?」と、つい思い詰めてしまうときもあるでしょう。自分や周囲の人を責めてしまうことがあるかもしれません。しかし、がんになったのは誰のせいでもありません。また、これまでにしてきたことや、してこなかったことについて、悔やむ気持ちが生まれることがあるかもしれませんが、自分を責めるのはやめましょう。これからできることを考えて、そこにエネルギーを注ぎましょう。
・いやなことは断る
がんになったことで周囲に迷惑をかけていると感じて、まわりに遠慮をしてしまう人が多くみられます。自分の気持ちを抑えすぎないで、気の進まないことは断る勇気を持ちましょう。
・正しい情報を集める
情報が不足していることで不安が強くなっている場合や、逆に、さまざまな情報があふれていることで、何が正しいのか混乱して不安になっている場合があります。主治医や看護師、相談室を頼ってもらえると正しい情報、かつあなたに合った情報を集めることができ、ストレスの軽減に役立ちます。
・気持ちを打ち明ける
人に話をすることで楽になったり、気持ちを整理することができます。いまの自分の気持ちを、家族や友人といったごく親しい人たちに打ち明けてみてはどうでしょうか。日常生活を送っている家庭や職場にあなたのことを理解してくれる人がいれば、とても大きな支えになります。家族や職場へ打ち明けづらい場合は、まずは医療関係者や地域の相談室、患者会や患者サロンなどで打ち明けてみるのも良いでしょう。
・没頭する時間をもつ
がんに向きあうことも大切ですが、がんを忘れる時間も大切です。趣味の世界や仕事、身近な人とのおしゃべりなど、何かに没頭することで気持ちをリフレッシュすることができます。深呼吸、瞑想(めいそう)、音楽、アロマテラピー、ストレッチや散歩などの適度な運動、入浴、マッサージなども気持ちのリフレッシュに効果的です。
【参考文献】
「国立がん研究センターのこころと苦痛の本」(小学館)
国立がん研究センターウェブサイト「がん情報サービス」(外部サイト)
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