入院期間2ヶ月。今後のキャリアを考え「腫瘍を切ります」とだけ会社には告げた
腹腔鏡手術を望んでいたが、医師は開腹手術を提示
麻酔科医から勧められた都内のがん診療連携拠点病院へ転院をしました。早期の職場復帰を望んでいたので、手術創の小さい内視鏡による腹腔鏡手術を希望していたものの、主治医からは開腹手術を提示されました。期待していた治療方法ではなかったためガッカリしましたね。
とはいえ腹腔鏡手術にこだわりがあったわけではありません。開腹手術を勧められたのも、腫瘍がかなり大きかったためですし、主治医の説明は丁寧で納得感もあったので、信頼してお任せしようと考えました。
入院期間は2か月。職場にはがんであることを告げなかった
入院期間は2か月程度と言われていましたので、仕事関係の事前準備だけはしました。当時は責任ある立場を任されていたため、入院するにあたり決裁権を委任する代行者を決める必要がありました。
会社に伝える際、がんという具体的な病名は伝えませんでした。「ちょっと腫瘍ができたので病院で切ってきます」と、社長とマーケティングの責任者の2人にだけ伝えました。責任者の代行をお願いした人にも休む旨だけ話すにとどめました。
会社、特に部下はおろか、社長にさえがんと告げなかったのでは、キャリアのことを気にしたからです。そのとき、取締役というポジションに就いていた私には、降格や交代といった言葉も頭をよぎりました。ただ、社長あたりは薄々気づいていたようにも感じました。
医師を信頼しすべてを任せる。入院中は平常心でいた
7月半ばに入院し、開腹手術は8月に行いました。入院して最初の一週間はずっと検査をしていたように覚えています。入念に調べていただいているなとの印象を抱いていました。主治医にすべてを任せると決めていたので、入院中は平常心でいることを心がけました。
入院することが決まってから、兄と妹に大腸がんに罹患したことを伝えました。妻に伝えたときと同じく、心配しないで大丈夫だよと。妻が毎日付き添いで病室に来てくれて、身の回りの世話をしてくれましたが、兄妹が手伝いに来てくれることもありました。
手術前日に麻酔科の医師から説明を受けました。全身麻酔は初めてでしたが、丁寧に説明してくださいました。医師や治療方法に対して疑う余地はなく、リラックスして手術日を迎えることができましたね。
取締役として大きな重責を担っていた2007年に大腸がんが発覚。強い意志をもって早期の職場復帰を目指すも、術後後遺症のために辞職することに。一年の自宅療養を経て社会復帰し、新規事業の立ち上げ業務で活躍。罹患後に飼い始めた愛犬とは今でも欠かさず、朝晩の散歩をしている。