自分の体との付き合い方を理解。食生活を気にし出したことで排便のサイクルも読めるようになり週3勤務を開始
職場復帰をするも5か月弱で退職。辞めた時点で今後を考える
念願の職場復帰をしたものの、復職から5か月弱で退職したことは正直残念でした。復職後は今まで以上に活躍して会社に貢献する気持ちでいっぱいでしたし、社内改革に着手する構想もありました。それらが全て白紙になってしまったので、思い描いていたキャリアを一度リセットしました。
ただ、自分はあまり過去のことを引きずらないタイプ。辞めたことを後悔せずに、これから何ができるのだろうかということを辞めた時点では既に考えていましたね。妻に対しては、まあ何とかなるよ、ぐらいの軽い気持ちで話しました。妻は私の考えに賛同してくれましたし、兄弟からの理解もあったので、気持ちよく自分の気持ちの整理をすることができました。
自宅療養を開始。自分の体との付き合い方を理解した
2008年4月から自宅療養生活に入りました。
自宅で過ごしているうちに食生活とガス、便の関係もなんとなくですが理解できるようになりました。自分の体との付き合い方がわかってきたんだと思います。
食事は若干柔らかめのご飯、おかずも消化しやすいものを中心に発酵食などを好んで食べていました。フレッシュジュースもよく飲んでいましたね。これらの食生活は今でも続いています。
食事で生きる楽しみが奪われたという感覚はありませんでした。罹患前のように油っこいものを食べたり、お酒を沢山飲んだりはできなくなりましたが、入院中から思うように食事を取れない生活を送っていたのでその頃には正直慣れていましたね。食事よりも排泄面での不自由の方が大きかったので、そちらの方が気になっていました。
便秘と下痢のサイクルを掴み、生活のリズムを組み立てる
食生活を気にし始めたことでお通じのサイクルもだんだんと読めるようになりました。
お通じは依然としてコントロールできませんでしたが、私の場合、便秘の時期と下痢の時期が繰り返し来ることがわかりました。トイレに行かなければいけないのは、週に2回程度で、どうしたらスムーズにトイレをすませられるかがわかってきたんですね。
食生活が悪いとすぐ便秘になってしまうので、数日続いたときには病院でもらった下剤を飲んでいました。なるべく飲みたくなかったので、食生活を気を付けることで便秘を防ぐようにしていましたね。
便秘のサイクルが終わると、今度は下痢のサイクルが来ます。このサイクルのときはトイレに1時間籠ることもありました。
自分が今どのサイクルの最中なのか、いつトイレを済ませたのか、それを理解することで生活のリズムを組み立てられるようになりました。今日は便秘のサイクルで昨日排泄したばかりだから、大丈夫だ、とか。自分によく効く下痢止めも見付けたので、何かあれば服用するようにしています。
友人の会社で週3勤務。働く上で情報共有の必要性を感じた
療養生活が6カ月過ぎたあたりから、少しずつ社会復帰を考えるようになりました。朝晩、犬と散歩する以外では業界紙や新聞などを読んで、世の中の流れやトレンドを調べるような生活。入院していた時と同じような生活スタイルで日々を過ごしていました。
この時もまだ排便の心配はありましたが、歩行の違和感はなくなりつつありました。それまではお腹を切ったことで少し前かがみに歩いていましたが、まっすぐと綺麗な姿勢で歩けるようになってきました。それに加えて体力の回復も実感。体が元通りになってきている手応えを感じるようになりましたね。
万全ではないものの体調が良くなってきたこともあり、友人の経営している会社でマーケティング関連の仕事をお手伝いさせてもらうことになりました。週に3日、1日8時間勤務。外勤をする自信はありませんでしたが、内勤であれば問題なさそうだなと感じました。
問題なく内勤ができた理由として、事前の情報共有が大きかったと思います。友人には最初からがんのことや現在の自分の体調をきちんと伝えてあり、これが働く上で大きく作用していた気がします。きちんと情報共有さえできていれば、自分のリズムで仕事ができることがわかりましたね。
取締役として大きな重責を担っていた2007年に大腸がんが発覚。強い意志をもって早期の職場復帰を目指すも、術後後遺症のために辞職することに。一年の自宅療養を経て社会復帰し、新規事業の立ち上げ業務で活躍。罹患後に飼い始めた愛犬とは今でも欠かさず、朝晩の散歩をしている。