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がん治療に関わる社会保障制度・費用

がん治療のための上手な休みの取り方は? 知っておきたい会社の制度

目次

    1. まずは会社とよく相談することから
    2. 休みの取り方と働き方について
    3. 就業規則の周知は雇い主の義務
    4. あなたの働く権利

がん治療のための上手な休みの取り方は? 知っておきたい会社の制度

まずは会社とよく相談することから

がんの治療方針が決まったら、仕事との両立について考えます。会社に勤めている人であれば、主治医から今後のスケジュールや体力回復の見通しなどについて詳しい情報をもらって会社にも共有し、今後の仕事と治療の見通しについて話をする機会をもちましょう。

診断書よりも仕事に特化した書類が必要ということであれば、会社と相談をしつつ、自分がどんな仕事をしているのかを記した「勤務情報提供書」を主治医に提出し、それを読んだ主治医から仕事に対してどういう配慮が必要かなどを「主治医意見書」としてまとめてもらう方法もあります。

「主治医意見書」をもとに産業医なども交えて職場で話し合った上で、仕事をこのまま続けるか、続ける場合には通院時間の確保や、負担の少ない業務や部署に変わるなど、具体的な両立支援プランや職場復帰支援プランを決めていくこともできます。


休みの取り方と働き方について

入院などで長期にわたって仕事を休まなければならないときは、まず自身で会社の就業規則の「休職・欠勤」の項目をよく確認してください。

たとえば育児中の社員に対しては育児休暇という制度がありますが、がんの患者さんに特化した休職制度はないのが実情です。そのため、通常の休職を活用することになります。

休職は法律で定められた制度ではないので、休職制度を設けるかどうか、また休職の内容(休職事由や賃金の有無、休職期間の長さなど)は会社の裁量で決まり、通常は就業規則により運用されています。一般的には、病気休暇や有給休暇を消化したあと、なお引き続いて療養を継続する必要があるときに利用します。

会社によって、病気休暇と有給休暇のどちらを先に消化したらよいかなど、休み方のコツも異なります。主治医の診断書をベースに人事部門の担当者と、できれば職場の上司も交えて、就業規則も参照しながらどのように休みを取るのが自身と会社にとってベストなのか相談しましょう。

また、2022年1月1日から改正になった「傷病手当金」 の利用もあわせて検討することをお勧めします。

会社によって異なりますが、治療と仕事を両立するために就業規則で定められている制度の例として、日にちではなく時間単位で取得する年次有給休暇、傷病休暇、病気休暇などの休暇制度や、フレックスタイム制度、時差出勤制度、短時間勤務制度、在宅勤務(テレワーク)、試し出勤制度(長期間休業していた労働者が円満に復帰するために、勤務時間や日数を短縮して試しに出勤すること)などがあります。 

就業規則に上記のような制度がなくても、今ある制度を柔軟に運用してもらうなどの配慮を引き出すこともできます。会社にとっても今後のモデルケースとなり得ますから、お互いのためにもまずは話し合ってみましょう。

また、厚生労働省が実施している事業者向け事業として、がんなどの治療と仕事の両立を支援する「治療と仕事の両立支援等助成金」というものがあります。勤務先の担当者に、こうした事業を紹介することで、休みやすくなるかもしれません。 


就業規則の周知は雇い主の義務

従業員(※1)10人以上を使用している雇い主は、就業規則を作成し、それを職場の見やすい場所に備えつけて働く人に周知することが義務付けられています。いまは、社内ネットワークなどに掲載していつでも見られるようにしている会社も多いでしょう。すぐに見つからない場合は、人事部門の担当者に問い合わせてください。

従業員10人未満の会社の場合、就業規則の作成は義務付けられていません。会社側と個別の相談が必要になります。派遣社員の方は、派遣元企業の担当者に確認してください。

※1:正社員、パート、アルバイトなどの名称にかかわらず、特に期間の定めなく雇用されている常時従業員


あなたの働く権利

がん経験者の話として、病名を会社に公表したためあからさまに退職を勧められたというケースも耳にします。 

しかし、退職や転籍のように本人の身分が変更になる人事措置については、就業規則などに記された制度に基づかない場合には、当事者が「同意」していることが必要になります。

現在の職務を十分に遂行できる状態であるのに、会社があなたに退職を勧めたとしたら、適当な措置とは言えません。また、病気休暇や休職などの会社の制度を使いながら働くことは労働者の権利でもあります。

なぜ退職を勧めるのか、その理由を会社側に確認してください。

それでも会社から強く退職を勧められたり、治療を継続していく上でとても困難な異動を命じられたりした場合には、患者支援団体やがん相談支援センターに相談してみてください。それでも解決しない場合、都道府県労働局の総合労働相談コーナーなどの相談窓口でも、無料で個別相談や解決援助サービスが受けられます。

●働くことで悩んだら:患者支援団体による無料の電話相談「就労ほっとコール〈予約制〉(一般社団法人CSRプロジェクト) (外部サイト)」

●総合労働相談コーナーについて、詳しくは「総合労働相談コーナーのご案内(厚生労働省) (外部サイト)」をご覧ください。

Hatch Healthcare K.K.

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