家族と一緒に夢だった富士山へ。「今できることをできるだけやる」
仕事よりも自分の体と家族に向き合いたい
現在、仕事は傷病休暇中。今年の秋頃を目途に傷病休職期間が終了し、退社する予定です。
ファーストラインの抗がん剤治療の副作用が強かったこともあり、治療と就労の両立は私にとってはかなり難しかったです。もともと営業職で外回りの多い仕事。パソコンと案内用の書類をキャリーケースに詰め込んで、一日中都内を回っているようなイメージです。
ただ、現在はかなり体力も低下、仕事を続けるのは難しいと感じています。今は仕事よりも、自分の体や家族と向き合う時間を大切にする気持ちが強いです。
自分の体で言えば、抗がん剤治療を受けた翌日は、自分でも自律神経をコントロールできないんです。気持ちがたかぶって眠るのが難しかったり、普段なら気にならないことでイライラしたり。自分で自分の感情を上手くコントロールができない辛さがあります。
ほぼ1日を食事に費やす生活。おかげで体重はキープ
私にとって今の仕事は、食事。
現在は、一日のほとんどの時間を食事に割いています。ダンピングのこともあり、食事を複数回にわけて、かつ時間をかけて食べなければいけません。例えば、比較的量の少ない朝食だけでも1時間はかかります。
胃を全摘すると体重減少は避けられないようですが、個人的には体重を落としたくないという思いがあり、寝ているとき以外はできるだけ食事をしています。結果、体重はほとんど落ちていません。
実家への帰省、水族館、テーマパーク。家族旅行は行けるだけ行った
日常生活以外では、今できることをできるだけやるようにしています。例えば、旅行。去年は何度も家族旅行に行きました。がんに罹患していなければ、こんなに詰め込んで旅行することはなかったでしょうね。
私の実家は関西にあるのですが、今住んでいる関東から関西の実家まで行くとなると、一大イベント。去年は、年に2回、実家に家族4人で帰省。海に行ったり、川に入ったり。
ファーストラインのときであれば、難しかったんでしょうが、セカンドラインでは冷感の副作用もないので、私も川に入ることができました。冷たい水の感触がひんやりして心地よかったです。
他にも遊園地に行ったり、地元の友達を集めて食事会をしたり。母校にも行きましたね。高校時代はテニス部に所属していたので、テニスコートを一緒に見ました。久々に恩師にも会うことができて良かったです。
去年で言うと、遠方の水族館に泊りで行ったり、モビリティテーマパークに行ってグランピングをやったり。こうやって話してみると、家族を少し連れまわしているようなところもありますね。
夢だった富士山登山。がん患者同士のツアーで五合目まで登った
実は昔から、それこそがんに罹患する前から、富士山に登りたいという夢がありました。
だから絶対に今のうちに富士山には登っておきたいと思っていましたが、主治医は否定的でしたね。足にしびれの副作用もありますし…。正直なところ、自分自身、口では登りたいとは言いながらもそんな体力がないことも知っていました。
それでも富士山に登りたいという思いは諦めきれず、なにかいい方法はないものかと考えていたところ、たまたまがん患者同士で富士山の五合目に泊まろうという企画を見つけたんです。
さっそく家族でエントリーして行きました。五合目からでも雲海は下に見えるので、朝早くに子どもを起こして、家族全員で御来光を見ることもできました。
「頑張れメッセージ」を力に。今は多くの励ましをもらう日々
これから先の治療や生活のことに関しては、正直医師に相談しづらいこともあります。
今後、症状が進行したときの緩和ケアの話や在宅医療、訪問看護などについては気軽に相談できない部分も。生きるため、延命するための情報はいくらでも相談できますが、エンディングというか、自分自身の人生をどう終えていくかの部分はどうしても口に出しては相談しづらいです。
家族との関係も含めて、どう人生を終えていくのがいいのか。自分なりに書籍などを読んで情報収集していますが、もっと気軽に相談できればいいなと日々感じています。
一つ自分で工夫していることとしては、お見舞いに来てくれた人に一言「頑張れメッセージ」をノートに書いてもらっています。自分自身が本当に追い込まれたときに、そのノートを開いて力をもらおうと考えているんです。
先のことを考えるとどうしてもモヤモヤすることはありますが、多くの人からの励ましをいただけているので、幸せな病人生活を送れているとの実感がありますね。
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ある日、突然襲われた下血と吐血で救急搬送。緊急搬送先の病院で胃がんの告知を受ける。ステージⅣのがんに罹患していることを知人や周囲の人に隠さず、応援してもらいながらの治療生活。治療と子育ての両立をしながら、毎日を過ごしているとのこと。