※本記事は、個人の体験談です。患者さんの体験談を元に記事にしており、本文中に具体的な病状や治療法なども出てきますが、あくまでも個人の例であり、病状や、治療効果は、個人個人で差がありますので、すべての患者さんへ適応できる状況、効果を示すものではないことを了承ください。
治療方針が最終的に決まったのは3月初旬でした。健康診断からわずか半月ほどというスピーディーな進行であり、とてもありがたかったです。治療の説明を受けたその日に、がんのステージについても聞きました。ステージⅢで、手術を受けられるとのことでした。
治療方針は手術を前提として、その前にまず化学療法でがんを小さくしておくというものです。小さくなれば、その時点で食道を全摘すると説明されていました。主治医の説明により、手術が必要であることは納得できていました。
そのほか、食道全摘に関するリスク説明も受けました。食道がんの手術においては、胃を持ち上げてつなぎ直すことが必要なようですが、その影響で胃の内容物が逆流するおそれなどがあるというお話でした。
この時、胃温存回結腸再建術という手術の選択肢があることを聞きました。自分の腸を食道に置き換えるという方法です。胃温存回結腸再建術だと逆流しにくいとの説明を受け、それならばと、すぐにその手術を受けることを決断しました。
科学的根拠やエビデンスを意識しつつ食道がんについて勉強
がん罹患がわかってからは、インターネットで病気について検索しました。主に、大学や医療機関の発表している論文を検索しました。
食道がんに関する本はあまり書店にも並んでいませんでしたが、何冊か取り寄せて読んでみました。がんの体験記なども含め20冊は読んだと思います。
インターネットや書籍で情報を探す時には、デマや誤情報を含んだものがあることを前提に、科学的根拠やエビデンスがその文献にあるのかどうか気をつけていました。
書籍については図書館も駆使しました。私は元々図書館が大好きで、図書館でボランティアをしているほど。本を選ぶ際は、後ろの方についている参考資料をチェック。そこから芋づる式に本をたどっていく、ということをしました。逆に言えば、参考資料がない本は信用しないようにしていました。
素人の私が医療情報のエビデンスを判断するのはなかなか難しかったですが、私が民間療法や先進医療といったものに傾倒しなかったのは、標準治療を受けると決めていたからだと思います。
当初は先端的な医療についてもちょっとした希望を持っていましたが、そうしたものは治療効果がまだ確認できていないものであって、効果が確認できたものが標準治療になるのだと主治医から説明を受け、考えを改めることができました。
食道がんの術前化学療法は2クール実施
2018年の3月から4月にかけて、2クールの化学療法を実施しました。3~4日ほど入院して点滴を受け、その後自宅で2週間ほど薬を服用。1週間休み、もう一度入院して同じ工程を繰り返す、という流れです。
抗がん剤の副作用については、便秘が少しあった程度でほとんど感じませんでした。
仕事は、入院するタイミングで長期休暇をもらいました。抗がん剤治療を受けながら働きたかったのですが、主治医との話し合いの結果休むことになりました。
この頃は、とにかく食べることを心がけていました。
食道がんの副作用で体重が減ってしまうことを見越して、主治医の指導のもとで体重を増やすことにしたんです。元々瘦せ型で体重が落ちやすい体質ということもありましたが、がんと分かった際に、手術を受けるとこれまでのような大食いはできなくなる、と言われており、手術前にはいろいろなところに食べに行きました。結果、2ヶ月で6キロほど体重を増やすことに成功しました。
天ぷら店、量が多いことで有名なラーメン店、病院の近くにある洋食店などに行きました。抗がん剤治療中には、日帰りで江ノ島まで行き、生しらす丼も食べました。手術後には絶対食べられなくなるような食べ物を探し、一種食べ納めと思い食べて回っていましたね。家では主に、おやつやアイスクリームなど間食を意識的に摂るようにして体重を増やしました。運動も心がけ、ウォーキングと軽い筋トレを続けていました。