※本記事は、個人の体験談です。患者さんの体験談を元に記事にしており、本文中に具体的な病状や治療法なども出てきますが、あくまでも個人の例であり、病状や、治療効果は、個人個人で差がありますので、すべての患者さんへ適応できる状況、効果を示すものではないことを了承ください。
2020年4月から通常勤務をしています。
社内では私のようにがんになったことを公表している人は他にいません。私は総務として、その状況を変えたいと思っています。
実は以前、「社内にがんの患者会を作りたい」と保健師さんに相談したことがあるんです。自分ががんになったとき、がん患者の声を聞きたいのに聞けなかった。そういう思いから、作りたいと思い立ちました。
ただ、個人情報の問題もありますし、隠したいという方もいるでしょうから、まだその活動は行えていません。
しかし、自分は公表してもいいという人と、そういう人の声を聞きたいというがん罹患社員をつなぐような場は、いつか提供したいと考えています。
会社の人たちも、がんについてまだ知らないことばかりだと思います。社内のがんリテラシーを向上させるため、啓発活動もしてみたいと考えています。
コロナ禍により、リモートワークに移行しました。緊急事態宣言中はほぼ100%在宅勤務です。それ以外は総務部という性質上、毎日部署内で1人は出勤することになっていて、当番制で週1回出社はしていますが、それ以外は全て在宅です。
在宅勤務ですので、身体に負担のない働き方ができています。なにより、満員電車に乗らなくていいのが大きいです。
また、勤務時間も自由になり、自分の時間が取れることが快適です。食べ物についても、出社していたときは自宅からおにぎり1個とチーズを持参していたのですが、リモートワークになって、好きなときに好きなものを、好きな時間に食べられるようになり、負担は減りました。
2020年11月には、勤続30周年を記念して会社から旅行券をもらいまして、金沢に3泊4日で旅行にいきました。
食道がん患者会を立ち上げる
現在は定期検査を半年に1回受けています。産業医とは、現在も3ヶ月に1回ほどの頻度で面談。体調や仕事の状況などについて話を聞いてもらい、問題がないか確認してもらっています。
2020年には、食道がんの患者会を自ら立ち上げまして、その運営に携わっています。がんセミナーに参加した時、患者仲間と意気投合し、がん患者のために何かできることをしよう、と思い立ちました。
現在は月に1回、リモートで患者交流会を開いています。2021年4月には、日本食道学会のご協力もいただき、医療者も招いてのシンポジウムも開催いたしました。今後、有益な会にしていけるようにがんばっています。コロナ禍でまだ実現できていませんが、がん患者用のメニューなどを提供できるがんカフェも企画していました。
最近も、術前の患者から「お話を聞かせてください」というコンタクトが患者会にありました。
患者会を立ち上げた背景には、医療者からの後押しもあります。医療者と患者の交流会のような席に招かれて、「ぜひ、患者会を立ち上げてほしい」とお願いされたのです。そのころ、食道がん専門の患者会は日本に一つもなかったんです。
そうしたこともあり、別の患者会の立ち上げを経験したことのある人のアドバイスを受けながら、法人として立ち上げました。
これまで、なぜ食道がんの患者会が日本になかったのか。
個人的には、患者の大半が中高年の男性だからではないかと推測しています。この層は、特にコミュニケーションが苦手なように感じます。これまでもいろいろながん患者会に顔を出していましたが、どこの会も参加者は女性ばかりで、男性に比べると女性はコミュニケーションが上手だなと感じました。
「がん患者のために何かできることをしよう」との決意で立ち上げた会の活動や、地元で行っている図書館ボランティアの活動など、仕事以外でも様々な活動を行い、今は罹患前以上に活動的になっているかもしれませんね。