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2021年1月 診断・手術

風呂上がりに倒れて病院へ。予期せぬ脳腫瘍診断、手術

※本記事は、個人の体験談です。患者さんの体験談を元に記事にしており、本文中に具体的な病状や治療法なども出てきますが、あくまでも個人の例であり、病状や、治療効果は、個人個人で差がありますので、すべての患者さんへ適応できる状況、効果を示すものではないことを了承ください。


2021年1月中旬、風呂場で倒れたことをきっかけに脳腫瘍が発覚しました。元々頭痛持ちではあったのですが、まさかこんなに大きな病気が頭痛の原因だったとは思ってもみませんでした。

倒れた当時は、妻と子どもの3人暮らし。調理師として、老人ホームで調理の仕事をしていました。

いつも通り、仕事が終わって帰宅し入浴。風呂から上がったところで突然倒れたようです。

たまたま妻がそばにいて、タオル掛けなどで頭を打っていたかもと言うのと、仕事が休みだったこともあり、翌日近くの病院の脳神経外科に行くことにしました。


その時はまだ自分が脳腫瘍だなんて思いもよらず、「ぶつけた右腕が痛いな」「家族が強く言うから、念のため受診するか」程度に考えていました。


MRIで影が見つかり、脳腫瘍の可能性を指摘される

翌日、近所の脳神経外科へ行き、受診の経緯を医師に説明したところ、すぐにMRI検査を受けることになりました。検査の結果、画像に影があり、脳腫瘍(悪性腫瘍)の可能性があると言われました。

「軽い病気すらしたこともないのに、突然がんと言われても……」

あまりに突然のことで、自分のことなのに正直ピンときていませんでしたが、同席していた母は泣いていました。

医師からは「ここでも手術は可能だが、その後の対応が難しいかもしれない」との説明があり、がん専門病院への紹介状を書いてもらい、治療はがん専門病院で行うことになりました。

 がん専門病院で脳腫瘍と診断を受ける。まずは手術をすることに

がん専門病院の医師によると、やはり脳腫瘍で、腫瘍は左の前頭葉から右脳まで広がっており、グレードⅣ(注)という見立てでした。

医師からは、まず手術を行い取れる分を取りきって、残りの腫瘍は放射線治療や抗がん剤治療で小さくするという治療方針を聞かされました。

親戚にがんに罹患した人もあまりおらず、当時はがんに関する知識がまったくありませんでした。ですから、医師の言葉を信じるしかありません。父にも同席して話を聞いてもらっていたのですが、わたしと同じく医師の提案する治療方針でいこうという考えでした。

1月中旬に倒れて脳腫瘍が発覚。2月上旬に手術となったのですが、実は3月に妻が第二子出産の予定でした。仕事に関しても、老人ホームでの調理の仕事などをしていましたが、自分の店を持ちたいと独立の準備をしていたタイミングでした。私生活でも仕事でも忙しい時期に突然脳腫瘍がわかり、手術をすることになってしまったんです。

この時は、「まずはできる限りの治療を受けよう。やれることをやろう。それしかない」という心境でした。元々慌てたり取り乱したりすることがあまりない性格というのもあるのか、こんな状況でも、わたしはそれほど取り乱すことなく状況を受け入れていました。


(注)脳腫瘍の場合、ステージ分類ではなく、Ⅰ~Ⅳのグレード(悪性度)で分類されます。

目が覚めたまま行う覚醒下手術。事前準備のおかげでそれほど緊張せず

わたしが受けたのは覚醒下手術というものでした。脳内の腫瘍をできる限り切除をしつつ、正常な部分を残すために会話をしたり手を握ったりしながら、起きたまま受ける手術です。

手術前日に、医師と会話のデモンストレーションをしたり、手術室に入って手術台に横になったりして手術のイメージをつかみました。そのおかげか、当日それほど緊張することはありませんでした。

手術は8時間を超える大がかりなものでした。途中、急に吐き気が強くなってきて、手術台の上で吐いてしまったのですが、後で話を聞くと、その時には一番難しい部分を手術していたそうです。そうやって反応をみながら切除範囲を決める手術だったようで、吐いた後ほどなくして「ここが限界のようなので、手術を終了します」と医師から声がかかりました。

右の前頭葉をこぶし大ほど切除しましたが、今のところ後遺症もなく過ごせています。

家族が見舞いに来られない中、助けになった看護師の存在

振り返ると、自分で立ち上がることもできない手術直後が一番つらかったです。

看護師の細かい声かけや手厚い看護には本当に助けられました。感染症の流行もあって家族が見舞いに来られなかったので、看護師とちょっとした世間話ができたり、具合が良くなった時にすぐにポジティブな声をかけてもらえたりしたことがとても嬉しかったのをよく覚えています。

手術の後は鼻水のような液体が止まらないことに悩まされました。目に見えないくらい小さな頭蓋骨の穴から体液が漏れていたようで、自然と止まるまでに1週間近くかかりました。熱も出たし、だるいし歩けないし、つらかったです。それでも、手術後2週間で退院、帰宅することができました。

診断・手術

放射線治療・抗がん剤治療

2021年1月、入浴後に倒れたのをきっかけに脳腫瘍が判明。手術、放射線治療、抗がん剤治療を行う。元々イタリアンのシェフをしており、2022年4月には脳腫瘍判明前から目標としていた「自分の店を持つ」という夢を、キッチンカーのオーナーシェフとなることで実現。2児の父。(インタビュー・掲載時の情報です)

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