※本記事は、個人の体験談です。患者さんの体験談を元に記事にしており、本文中に具体的な病状や治療法なども出てきますが、あくまでも個人の例であり、病状や、治療効果は、個人個人で差がありますので、すべての患者さんへ適応できる状況、効果を示すものではないことを了承ください。
話はすこし前後しますが、家族との関係についてお話したいと思います。
2021年2月、手術を経て退院したのち、リハビリを兼ねて実家の農園で軽作業をしていました。植物相手の作業はとても癒されました。屋内に引きこもっていたら鬱々と考えて落ち込んでしまっていたかもしれません。日の光の下で身体を動かすのは、本当に良いリハビリになりました。
気持ちの面では、姉が話を聞いてくれたことに助けられました。6つ離れていて、小さい時から可愛がってくれています。がんのことでも、それ以外のことでも、何でも話ができる信頼できる存在です。普段からくだらないことやささいなことでも話せる人が近くにいてくれたことで、闘病生活での不安が大きく減ったように思います。
落ち込んだり、色々考えたりして後ろ向きになりがちなときにも、すぐに身近にいる家族に話を聞いてもらえる環境はとてもありがたいことでした。
抗がん剤治療中、助けになった父と姉の協力
放射線治療が先に終わり抗がん剤治療のみになってからは、月に一度通院していました。毎回父が車で送迎してくれただけでなく、大事な説明の時には姉も診察に同席してくれました。医師の説明があるときに家族が同席してくれるのはとてもありがたかったです。
病気の説明はどうしても専門的で難解な面がありました。一緒に話を聞いた父や姉と診察後に医師の話を振り返り、確認し合うことで、自分の勘違いに気づけたこともありました。
「自分にできることは何だろう」何か貢献したいという思いで治験に参加
このように、家族のサポートも受けながら通院していたがん専門病院では、従来の治療に加えて治験(注)にも参加しました。脳腫瘍の再発予防のための薬の治験です。
がんになってから、「自分にできることは何だろう」と考える機会が増えました。治験に参加できる人は限られているそうで、自分が治験に参加することで医学が発展し、間接的にでも人助けになるのなら、という思いで参加することにしたんです。
(注)人における試験を一般に「臨床試験」といいますが、「くすりの候補」を用いて国の承認を得るための成績を集める臨床試験は、特に「治験」と呼ばれています。(厚生労働省HPより引用 )
「患者サロン」に参加して気付いた家族との関係性のありがたさ
治療中、インターネットでの情報検索はあまり積極的にはしませんでした。最初に自分の病気について検索をしたとき、あまり前向きになれる情報が見つからなかったからです。
その後、がんに関する情報は姉が色々と調べて教えてくれるようになり、がん患者同士が情報交換できる「患者サロン」の存在も姉が教えてくれ、わたしも何度か参加しました。
わたしが参加したサロンには、がん患者だけでなくその家族も参加していました。がん患者やその家族がグループを作り、お互いの悩みや気持ちを共有し合っていました。
参加されている方の話を聞き、がんになったことで、家族であっても互いの距離感に思い悩むケースもあると知りました。そうしたお話を聞き、がんになる前と変わらぬ関係で家族と過ごせているのはありがたいことなのだと気づき、家族への感謝の思いがより一層強くなりました。
患者サロンに参加することで、これからどうするかについての思いを巡らせたり、自分自身の家族への思いに気付いたりすることができました。