※本記事は、個人の体験談です。患者さんの体験談をもとに記事にしており、本文中に具体的な病状や治療法なども出てきますが、あくまでも個人の例であり、病状や、治療効果は、個人個人で差がありますので、すべての患者さんへ適応できる状況、効果を示すものではないことを了承ください。
6クール(4ヶ月)にわたる抗がん剤治療は8月に終わりました。それから2ヶ月ほどたった後、治療効果の測定のために、PET−CTの撮影が実施されました。腫瘍が全て消えて「完全寛解」となることを期待しましたが、残念ながら「腫瘍のほとんどは消えたものの、消えずに残っている腫瘍が1ヶ所ある」とのことで、「部分寛解」という結果でした。
造血幹細胞移植と放射線治療という2つの選択
「部分寛解」という結果が出た時点で、治療についての選択肢は2つでした。
1つは「造血幹細胞移植」。もう1つは、消えずに残っていた1ヶ所の腫瘍に放射線を照射する「放射線治療」でした。
主治医とは抗がん剤治療中から、「完全寛解」とならなかった時の治療法について話をしていました。造血幹細胞移植は、放射線治療に比べ体への負担が大きいと言われており、長期の入院も必要です。私は以前から主治医に「できれば、通院での治療も可能な放射線治療を自分の選択としたい」と伝えていて、主治医は理解してくれていました。
「部分寛解」という結果を受けて、主治医は「当院のカンファレンスの結果として、造血幹細胞移植を勧めます。しかし、このPET-CTの結果であれば、別の病院では、別の判断をする可能性も十分にあります。この選択は大事な選択です。ご自身が納得できる治療を受けるために、セカンドオピニオンを聞くという選択もありますよ」と言ってくれました。主治医の言葉を受けて、セカンドオピニオンを聞くことにしました。
患者団体に相談。セカンドオピニオン先の医師を紹介してもらう
セカンドオピニオンを聞くにあたって、悪性リンパ腫の患者団体の相談窓口に電話し、状況を説明して、セカンドオピニオンを聞く医師探しについて相談しました。相談窓口では、大きながん専門病院に所属する、悪性リンパ腫の治療実績が豊富な医師を紹介してくれました。主治医に聞いてみたところ、「その方なら、学会でも有名な方ですよ」とのことでした。
セカンドオピニオンを聞きに行った医師からは、「海外の大学での研究では、この病状下では、造血幹細胞移植でも放射線治療でも予後は変わらないというデータが出ているので、治療にあたっての患者の体への負担が少ない放射線治療を勧めたい」という意見を得ました。この結果を主治医に伝えるとともに、改めて放射線治療を希望して、主治医も了承してくれました。
「治療を受けている病院の治療方針には逆らいにくい」とおっしゃる方が多いかもしれませんが、私は治療を受けながら、「自分の命の行方は、自分で決めないと後悔する」と考えていました。自分で決めるためには、病気についてよく知らなければなりません。悪性リンパ腫の治療については、自分でもよく勉強したと思います。
放射線治療を5週間。2ミリほどの影が新たに見つかる
放射線治療は11月から始まり12月まで、月曜日から金曜日の平日5日、それを5週間続けました。5分から10分ほどで終わるので、会社の昼休みを利用して治療を受けました。
2019年2月、放射線治療の効果測定のため、再びPET-CTを撮影しました。その結果は、「前回残っていた腫瘍は消えているが、その場所から少し離れた別の場所に腫瘍の影が見られる」というものでした。
この時点では、わずか2、3ミリの小さな影しか写っていませんでした。「この大きさでは、再発したとは確定できない」ということで、ひとまず様子を見ていくことになりました。