※本記事は、患者さんの体験談であるため、具体的な病状や治療法なども出てきますが、あくまでも個人の例であり、病状や治療効果は、個人差があります。すべての患者さんへ適応できる状況、効果を示すものではないことを了承ください。
転院後ホルモン療法の提案がなかった理由
2024年1月下旬にかかりつけ医に転院先の県立がんセンターへの紹介状を頼み、2月上旬には県立がんセンターでの初診でしたので、転院はスムーズでした。
初診時、県立がんセンターの主治医からは、手術をしてその後必要であれば放射線治療などの追加治療を行う可能性があると説明を受けました。
また、「手術の際に大腸が傷つくおそれがあり、そうなった場合は一時的に人工肛門になる可能性もあります」とも告げられました。
転院前のかかりつけ医には、手術の前にホルモン療法でがんを小さくする治療法の提案を受けていたので、ホルモン療法なしでいきなり手術という以前と異なる提案をされた理由が気になりましたが、この時すぐに質問することができませんでした。
2月下旬に2回目の受診をした際、主治医から「一時的とはいえ人工肛門になるリスクもあるので、術前にホルモン療法をしてがんを小さくした方がいいかもしれません」と言われました。
元々かかりつけ医で提案されていた治療の流れなのでそれ自体に不安や不満はなかったのですが、初診時にはされなかった提案だったので、「なぜ初診の時にはホルモン療法の提案がなかったのでしょうか」と質問しました。
すると、主治医からは次のように説明がありました。
「ホルモン療法を行っていると、病理検査でがんの状態を顕微鏡で見る際、判断が難しくなってしまうんです。がんの状態をより正確に把握するためにホルモン療法はしない方向で考えていました。ですが、がんが腸に近いところにあるので、手術のことを考えて今回提案しました」
この説明を聞いて、なぜ初診時に提案がなかったのか、そして今回提案されたのかがよく理解できたので、ホルモン療法を行うことに決めました。治療について疑問に思ったことはしっかり聞いた方がいいと痛感した出来事でしたね。
そのままその日のうちにホルモン療法を開始することになり、腹部に皮下注射を打ちました。
3月下旬にもう一度皮下注射を行い、術前のホルモン療法が完了しました。ホルモン療法については、特に副作用などはありませんでした。注射はすこし痛かったですが。
がんとは長い付き合いになると覚悟
4月上旬、術前検査と手術の日程調整のため県立がんセンターを受診した際、ホルモン療法が効いているのか気になり質問しました。
主治医からは「ホルモン療法が効いてがんが小さくなっているかは、実際に手術をしてみないとわかりません」と説明を受けました。効果は事前にわかるものかと思っていたので、すこし驚きましたね。
手術は約1ヶ月後の5月中旬から下旬にかけて、11泊の予定で決まりました。
手術を前にして、主治医から改めて話がありました。
「手術が終わってその時はがんを取り切れたと思っても、ごくわずかに残っていたり再発したりする可能性は十分あります。また、すべて取れたとしても、定期的な経過観察は続きます」とのことでした。
手術後問題がなく、追加の治療も必要ないとの判断になれば県立がんセンターからかかりつけの泌尿器科に戻り経過観察になること、それでも半年に1回は検査をする必要があることなども説明を受けました。
こうした主治医の言葉や、手術前の検査などを行ううちに段々と「がんとは長い付き合いになる」と覚悟するようになりました。