罹患して分かった家族のありがたみ。疎遠だった両親との関係に変化
毎日見舞いに来てくれた妻に感謝。アクセスで病院を選んでよかった
妻とは2016年4月に結婚、ですから結婚翌年、がんに罹患したんです。罹患の時期は結婚式のドタバタが終わって、一段落した頃でした。
私の入院中、妻は毎日の見舞いを欠かしませんでした。仕事もある中で、終業後19時過ぎには毎日病院に。でもこの生活は、家、病院、お互いの職場が近かったからこそできたと思います。距離次第では難しいかったかもしれません。
病院へは、家やお互いの職場など、どこからもほぼ徒歩圏内で、タクシーに乗っても1メーターくらいの距離。一日の終わりに毎日妻の顔を見れたことは素直に嬉しかったです。そういった意味でも、アクセスのしやすさで病院を選んで本当によかったな、と今でも思いますね。
もちろん大学病院のような大きな病院にかかるという選択肢もありました。ただ自分の場合は、治療法が確立されていることが告知の時点でわかったので、病院の大きさや知名度は関係ないなと。有名な病院は人が集まりやすいですし、その分待ち時間もすごく長い。大きな病院でないと治療できない患者の方もいますから、そこでしか治療を受けられない患者さんを優先して欲しい気持ちもありました。
そう考えると私の場合は必ずしも大きな病院に行く必要はなかったんです。他の患者さんや混み具合を考えた時に、アクセスの良い近所の民間病院の方が自分には合ってるなと、総合的に判断しました。
家族のサポートを受けありがたさを実感。恩返しをしたい
入院中には家族の有難さを改めて感じました。これまでは、一人でも生きていけるという考えがどこかにまだ残っていたんです。でも、決してそうではないなと。がんに罹患したことで家族について真剣に考えるようになりました。
義理の父母は家が近いということもあり頻繁に見舞いに来てくれました。これはちょっと極端な意見かもしれませんが、理屈でいえば見舞いにくる必要なんてないんです。来ても来なくても、治療の効果が格段に変わったりすることはありませんから。でも自分のことを気にかけてくれている人がいるのは、すごく有難いことだなって心の底から感じました。そこは、理屈じゃない有難さですよね。心の面で支えてもらったという感じでしょうか。
今では義理の母のお願いは全部聞くようにしています。先ほど申し上げたように、家が近いのでよく声をかけられるんですね。家に来て何かしてほしいとか、一緒にどこどこへ行こうとか。そういう誘いは全部受けるようにしています。最近は土地の活用法に悩んでいるらしく、普段からそういった相談によく乗っています(笑)
両親に心配をかけていたことを反省。2日に一回は連絡をするように心がける
一方、私の実家は住んでいる場所からは少し離れており、両親が見舞いにきた回数は2回程度。何かをしてもらうというよりは、顔を見て少し話をして帰っていく程度のもので、いつも日帰りでした。
病気になって分かったことは、自分からの情報発信がないと、両親は何も分からず不安になってしまうということ。近くに住んでいる義理の両親であれば、頻繁に顔を合わせるため、治療経過についても自然と情報共有ができるものの、離れた場所に住む私の両親はそうはいきません。今までは必要最低限の連絡に留めていましたが、がんの罹患をきっかけに、実家の両親とも日頃からコミュニケーションを取った方がいいな、と考え方が変わりました。やはり親は子供のことをどこまでも心配しているところがありますからね。これからは安心させてあげたいなと。なので今まで両親には心配をかけてしまったな、と反省しましたね。
翌年にはガラケーを使っていた両親にスマホとタブレットPCをプレゼント、チャットアプリの使い方を教えました。気軽に連絡が取れる手段を教えることで、コミュニケーションの回数を増やしたかったんです。今まで一か月に一回程度の連絡しかとっていなかったのですが、今はどこそこに行ったよとか、こんなことがあったよとか、2日に一回くらいの頻度で連絡するようにしています。
埼玉出身、大阪勤務。2016年に結婚。結婚後、一年で悪性リンパ腫に罹患。夫婦二人三脚で闘病。がんに罹患したことで、家族のあり方について深く考えるようになった。現在、奥様は妊娠中とのこと。