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2018年11月 恋愛

恋人に「腹部の傷跡」について真相を伝えるかはいつも悩む。がんサバイバーの私の恋愛観


がん発覚直前にできた彼氏。気遣ってお見舞いに来てもらうも…

手術のために入院していた2016年1月の2、3ヶ月前からお付き合いを始めた人がいたんです。付き合ってすぐにがんが発覚したのですが、その彼氏には伝えませんでした。入院することも「とりあえず入院することになった」くらいで。その彼氏もそれ以上、詮索することはありませんでした。

今思うと、付き合ってまだまだ日が浅かったので、どういう距離感で相手に接したらいいのかわからなかったんだと思います。

その彼氏は入院中お見舞いに来てくれたのですが、毎回、面会票を書いてもらわなければいけなかったですし、病室も個室ではなかったので、話す内容にも気を遣わなければならず、病院の中にあった喫茶スペースでお茶しながら話をしていました。

化粧は軽くしていましたが、着ているものはほぼ部屋着。自分が病人でありながら、相手に気を遣わなければいけなかったことは、正直当時の自分には苦痛でもあり…。

その彼氏とは退院後すぐに別れてしまいました。病気とは関係なく、何か違うなという感じで。結局、その彼には私ががんに罹患したことを打ち明けないまま別れました。伝えることができなかったというのは…やはり違ったということだったんだと思います。

手術の傷跡が残る。がんに罹患したことを伝えるか否かが毎回の課題に

退院後は、がんに罹患したことを恋人に伝えるべきなのか、付き合う度に毎回悩みました。

目に見えて大きな傷が残ってしまいましたからね。現在は術後に比べればかなり薄くはなりましたが、見ればわかりますし、人によっては驚いてしまうくらいの傷跡ですので。

これから交際を考えるような相手ができたとして、傷の理由ががんであると正直に伝えるべきか、適当に濁して伝えるべきか、どうしても考えるでしょうね。色々と悩んだ結果、今は付き合ってから言うようにしています。でももちろん言った人もいれば言わなかった人もいます。

今思い返すと言わなかった人に対しては、そこまで心を開けていなかった気がします。別に言う必要はないと感じたのでしょう。その人との交際期間は半年ぐらいでした。もちろんお腹の術創は見れば分かるので、「これどうしたの?」とかはもちろん聞かれましたが、「ちょっと手術して…」って誤魔化して、がんとは言わなかったです。とはいえ、術創を治そうと考えたことはありません。もう一度手術を行うことには抵抗がありました。

今の彼氏には自然とがんのことを打ち明けられた

付き合ってからどれくらいでカミングアウトをするかは決めていません。今付き合っている彼氏には、ある日ふと「何で手術したの?」と聞かれたので「実はがんに罹患して…」と話したんです。不思議なことに自分でも意識することなく自然に言葉が口をついて出てきました。

時間が解決してくれたのかもしれないし、彼氏の性格かもしれないです。話したら、こっちが拍子抜けするくらいの感じで受け止められて。「大変だったね」くらいでした(笑)。サラッと受け止めてくれたことは、ありがたかったですね。変に気にされるよりずっとよかったです。

今思うと、自然に話すことができたのは、変に気を遣うこともないし、彼になら言っても大丈夫と思っていたからかもしれません。カミングアウトしたことで何か変わったことはなく、仲良くお付き合いできています。自己満足かもしれませんが、話してよかったなと思っています。

がんに罹患して恋愛観に変化。感謝の気持ちを伝えられるようになった

がんに罹患して恋愛観が変化した部分もあるかもしれません。自分自身の体調だけではなく、相手の不調に関しても気にかけるようになりました。ちょっとした風邪であっても無理してほしくないなとか。

あと、大きいのは少しであっても死を意識したことです。いつ何があるかわからない。それは自分だけではなくて相手もそうです。だから、何があっても後悔しないように変な意地をはらなくなりました。感謝の気持ちも素直に伝えることができるようになりましたね。

これは矛盾するかもしれませんが、だらだらと付き合うことはよくないなと考えるようにもなりました。違うなと思ったら、そのことを相手にきちんと伝えるのが建設的。一回しかない人生、納得して恋愛をしたいという気持ちも芽生えました。

 


がんを経験された個人の方のお話をもとに構成しており、治療等の条件はすべての方に当てはまるわけではありません。
新型コロナウイルスの影響によりテレビ会議を用いて取材を行ったため、写真は後日追加予定です。

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これからの自分

2015年に通院先で念のために行った肝生検で肝臓がんが発覚。当時はまだ社会人一年目。右も左もわからない中で受けた周囲のサポートに助けられる。特に情報収集、病院選びから退院まで、自分以上に動いてくれた母に感謝。がんは自分の人生を見つめ直すきっかけになったとのこと。

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