転院先を探すも、何を基準に選べば良いのか分からなかった
確定診断を受けた病院からの転院については母と意見が一致していたものの、具体的にどこに転院するのか、あてはありませんでした。早く手術をしなければならないのに、私にとっては何もかもが初めてで焦るばかり。
試しにネットで「肝臓がん 手術 できる医師」などと検索をしてみたものの、上位に名前がある人の中から選ぶのもなんとなく怖くて、どの病院を選べば良いか分かりませんでした。
どの病院にすべきか分からなかったのは両親も一緒でした。テレビによく出演しているような有名な医師がいる病院が良いのか、それとも実家近くの大学病院の方がなにかと便利で良いのか。両親は必死に病院を探してくれましたが、結局どの病院にすべきか分からなかったようです。
病院選びはリレーのように。主治医までバトンが渡る
結局、病院選びはリレーのようにバトンが渡って決まりました。お父さんが医師をされている地元の幼馴染がいて、そのお母さんに母が相談したんです。もともと母親同士の仲が良く、気軽に相談しやすい関係だったそう。
幼馴染のお母さんがその話を病院勤務のお父さんに話してくれたところ、地元のがんセンターの医師を母に紹介してくださったとのこと。母ががんセンターまで足を運び、医師に相談し、私の状況を説明してくれました。医師からは、神奈川にある病院を推薦していただき、神奈川の病院に話を聞きに行くことに。
母から話を聞いて、一緒に行くことになりました。その医師は私たちの拙い説明を真剣に聞いてくださり、信頼できる方だと感じたんです。お話を伺っている中で、その医師のお弟子さんに当たる方が都内の大学病院で執刀されていること、肝臓がんのオペに強いことを丁寧に説明してくださいました。
信頼できる主治医に出会う。自分自身の力だけではきっと辿り着けなかった
紹介先の医師に会うため、母と一緒に都内の大学病院へ。紹介先の医師は、今思い返してみてもひと目見たときから、この医師なら信頼できると感じました。話し方も的確で分かりやすく、がんのことを全く知らない私たちと同じ目線に立って話をしてくれたのも安心感がありました。今でもこの医師に手術していただけて本当に良かったなと思いますし、自分自身の力だけではこの医師には辿り着けなかったなとも思いますね。
最初は近所の幼馴染のお父さんから始まって、主治医にまでスムーズにバトンが繋がった。その間、ほんの1、2週間程度。改めて人とのつながりとご縁のありがたさ、自分の運の良さを感じました。
ネットで情報を調べる難しさ。情報を正確に受け取る自信がなかった
主治医を紹介経由で決めた理由は、実際に会って話をして信頼感を持てたことが大きかったように思います。自分でもネットなどを使って色々と探してはみましたが、探せば探すほどキリがない。どの病院も、当然ですけどいいことしか書いてなくて、結局どの病院を選ぶのが正解か分からなくなっちゃったんです。
今振り返ってみると、ネットの中にいる知らない人がお勧めする有名な医師より、信頼できる身近な人が紹介してくれた医師の方が安心感がありました。
ネットの情報が全くあてにならないとは思っていませんが、最終的な決め手には欠けるなというのが個人的な印象でしたね。母から連絡があって、神奈川の医師を紹介してもらえることが分かったあたりで自力での病院探しを止めました。
病院を探すためにネットで色々と調べましたが、肝臓がんという病気自体については、あまり調べませんでした。正直言うと怖かったんです。もちろんどんな病気かを知ることも怖かったのですが、一番は情報を正確に受け取れる自信がなかったこと。全く知識がない状態で手当たり次第情報を得ることで自分の精神状態が悪化するんじゃないかと思ったんです。
病院選びにも通じることですが、これ以上正否の判断ができない情報に振り回されたくないというのが正直な気持ちとしてありました。