外科医の友人に治療方針を相談。抗がん剤治療に対して前向きになれた
「現職に残るべきでは?」両親と妻が転職を反対
これからの人生、特に転職について家族と話す機会がありました。両親からは、今の職場に残るべきでは?といった助言も。
妻も最初は両親と同意見。個人的には複雑でした。心配してくれること自体はありがたかったものの、結局は自分の人生。やはり自分で自分の進む道を決めたかったです。せっかく得られたチャンスでしたし、家族の意見とはいえ簡単には受け入れ難いものがありました。私個人としては、できることなら転職先で自分の価値をしっかりと発揮したかったし、転職をやめる気には到底なりませんでした。
そんな自分の気持ちを妻は汲んでくれて、転職に対して理解を示してくれるように。子どもが自立する成人式を2人で祝おうねと話したことを覚えています。目標を立てることで、これからやってくる闘病生活の希望にしたかったんです。
消化器系の外科医である友人に思い切って相談した
がんに罹患したことについて家族と職場の上司以外には言わないようにしていました。ただ、一人だけ高校時代の同級生には伝えました。その同級生は消化器系の外科医をしていたんです。特別親しかったわけでも、定期的に連絡を取っていたわけでもないのですが、思い切って連絡をしてみました。
結果として、この友人に相談をしたことは自分にとって非常にプラスになりました。主治医から告げられている治療方針が標準的なものであり、オーソドックスなものであることも分かりましたし、ネットや書籍では得られないような情報も教えてもらうことができました。
友人は医師ではありますがあくまで友人。治療についてフラットに相談できたので、わからないことなども気兼ねなく聞けました。やはり対主治医では、関係性の問題もあるとは思いますが、聞きたくても聞きにくいこともあるのですごく助かりましたね。
この後に受けることになる手術の可能性についても、友人との会話の中で知りました。抗がん剤治療の効果がよければ手術による切除ができるようになるかもしれない。希望を持つことができたので、前向きな気持で抗がん剤治療に向かうことができました。
情報収集。調べても終わりはないが、調べたことで安心できた
退院後、抗がん剤治療を始めるまでの期間はとにかく情報収集に専念しました。ネット検索もしましたし、自分に近いがんの人のブログなども読みました。がん関連の情報サイトの会員登録もしましたし、患者会にも入会。実際に生の声を聞くこともしました。
多くの情報に当たる中でわかったことは、実にシンプル。標準治療を受けることが重要であること、抗がん剤の副作用には個人差があること、治療には前向きな気持ちで向かうこと。基本的なことが重要なのだなと改めて感じましたね。
最初はどんな情報でもいい!とばかりに、手当り次第検索をしていたので、気付けば調べすぎて情報でお腹いっぱいのような状態に。ですが情報収集に多くの時間を割いたおかげで、最終的には情報を見極める力がつきました。
結局、情報収集に関してはやってもやっても終わりがありません。おぼろげながらも、がんという病の全体像が見えてきたことで、安心することができました。裏を返せば、片っ端から情報収集をしていたのは、がんという病の正体が分からなかった不安のせいだったと思います。
40歳を機に憧れていたスポーツ業界で働くことを決意。転職前に受けた人間ドックで胃がんが見つかる。腹膜に転移していることが発覚するも抗がん剤治療が奏功し、胃の全摘手術を受ける。現在はがんと付き合いながら、スポーツ業界で活躍されているとのこと。