情報収集をした上で独自の手法を使い治療方法を点数化、セカンドオピニオンも受診
積極的に情報収集。納得のいく治療を受けたかった
がん検診で2か所の異常がみつかった私は、がんを理解した上で納得のいく治療を受けたいという思いが強まり、積極的に情報収集を行いました。
胃については、内視鏡による局所的な切除で対応可能だったのに対し、前立腺がんの治療は選択肢が多くありました。加えて、前立腺がんは男性特有のがんですから、治療内容と性を中心としたQOLに直結する部分があると医師から説明を受けました。
ただ、最初に診察を受けた病院では、全摘手術か放射線治療のいずれかを選択するように迫られたので、もっとも他の選択肢がないのか、見極めたいと考えました。
収集した情報をもとに治療方法を点数化
治療方法を選ぶにしても私は素人ですから、どの治療が自分にとって最適なのかはわかりません。そこでそれぞれの治療方法のメリット・デメリットに着目し、それらを自分で重みづけ・点数づけして定量的に判断可能な表を作成しました。
医師から説明された内容と、ネットや雑誌、書籍などで得た知識をまとめて、治療方法を点数化(スコアリング)し、自分なりに点数(スコア)をつけることで、点数の高い治療方法=自分が受けたい治療としました。
この二元表は、これまでの開発・設計の仕事で得た知識を使って作成したものなので簡単にできました。実際にまとめあげる作業にかかった時間も3、4時間ほど。医師にはこの表を見せていませんが、なぜその治療を受けたいかを医師に整理して伝えることができました。
大学病院やがんセンターにメールや電話で問い合わせた
このような情報収集を通して、密封小線源治療を希望しました。密封小線源治療は、体内から病巣に直接照射するため、性機能障害や尿失禁といった副作用が出にくく、入院日数も少ない点に魅力を感じたからです。
ただ、当時検査を受けていた病院では診療科目がなく治療できないため、どこの病院であれば受診できるのかを調べ、地元の埼玉県を中心にセカンドオピニオンの受診を決めました。がん診療連携拠点病院には、院内にがん相談支援センターというものがあります。気軽に何でも相談してください、とのことで大学病院や県立のがんセンターにメールや電話で問い合わせました。
ですがなかなか思うような回答をもらえず「予約をいれてから…」と電話の声、メールでも返信に2~3日もかかりました。前立腺がんは、進行が遅いとはいえ待つ身にとっては辛い日々が続きました。
胃の内視鏡手術を終え、セカンドオピニオンを受診
がんの診断を受けており、なるべく早く治療に入った方がいいことも知っていました。それでも治療方針を聞くために何か月も待たなければならない。治療方針を聞いてから治療に入ってもそこから更に待つ可能性も。罹患者の立場からすると酷でした。でもそれは前立腺がん特有のものかも知れません。
私の場合は、1か月ほどでセカンドオピニオンを受けることができたことと、その1か月の間に胃の内視鏡手術が入っており、忙しくしていましたし、治療を受けて良い方向に向かっているとの自覚がありました。これらが何もなくただ待っているだけでしたら、かなり辛かったと思います。
胃の内視鏡手術が終わり、退院したのが4月11日。前立腺がんのセカンドオピニオンを受けたのがそれから約1週間後の4月17日。もともと4月11日にセカンドオピニオンを受ける予定でしたが、退院予定日と重なったので、スケジュールを調整してもらっての受診でした。
胃の内視鏡手術でお世話になった病院へ転院
セカンドオピニオンは県内の大学病院で受けましたが、示されたのは最初に受診した地域の中核病院と同じ治療方針。
他の病院でも治療方針が変わらないことを知り、治療先の病院へのこだわりがなくなりました。最終的に、胃の内視鏡手術の際に入院した病院でも治療を開始できると知り、同じ病院でまたお世話になることにしました。術後の通院を考えると、胃の術後検査、経過観察が続いているので同じ病院で治療することがベストと考えたのです。
病院の決め手は三つあります。
一つ目は自分が希望していた密封小線源治療を受けられる病院が限られている上に、自分のグリソンスコアでは受けられるかどうか際どかったこと。二つ目は、検査や定期健診のたびに病院行脚をするのが大変だと思ったこと。三つ目は早期胃がんと前立腺がんの治療、科が違えども、同じ病院であれば院内コミュニケーションは円滑だろうと思ったこと。どちらかのがんで何かあっても連携してもらえるだろうと考えました。
そこで、これまで検査を受けていた病院から新しい病院に紹介状を書いてもらい転院することに。転院といっても、これまでの検査のデータが入ったCD-ROMなどを全て借り受けて、新しい病院に持っていくだけでした。
実は通院していた病院の泌尿器科の医師のうち、一人が転院先の泌尿器科から来ていた医師だったので、比較的早く治療に入れたように感じます。
-
2014年12月
-
2015年3月
-
4月
-
4月
-
6月
-
8月
-
2019年12月
-
2020年8月
父親が前立腺がんに罹患したことをきっかけとして、2014年12月にがん検診を受診。早期胃がんと前立腺がんが発覚。治療に専念するために、正社員からパートタイムへと働き方を変える。現在も罹患時と同じ職場で、術後の後遺症と上手につきあいながら仕事をされているとのこと。