開腹しがんが横隔膜まで広がっていることがわかる
術前にHBOCの検査を実施 開腹手術後、化学療法の方針が決定
2020年7月に告知を受け、その年の8月上旬には近所の大学病院に入院しました。
手術前、遺伝性乳癌卵巣癌症候群(HBOC)の検査も勧められ、それも受けることに。HBOCの結果がわかるまでは、アメリカを経由するため結果が出るまで1ヶ月ぐらいかかるそう。時間がかかるため、早めに受けておいた方がいいと勧められ、入院後すぐに受けました。
主治医の先生については少し事務的だとは思いましたが、高圧的で怖いだとか嫌な感じは受けませんでした。先生が苦手というより、転院して間もなかったこともあり、まだ関係性、信頼関係を築けておらず、手術前は言われるがまま受ける状態でした。
横隔膜まで広がっているがんと手術時間に驚く
手術前の説明で衝撃的だったのは、自分のがんが思いの外、体内で広がっていたことです。横隔膜や脾臓、場合によっては骨盤リンパ節のあたりを取る可能性も出てくるなどなど……。
それまでがん情報サービスや、罹患者の闘病ブログなどを通して、がんについて徹底的に調べていたつもりでした。しかし、個人のブログではどの部位を取ったかまでは事細かに書かれてはいません。ですから、自分も摘出するとしたら子宮と卵巣といったあたりだろう、と狭い範囲を見積もっていました。
ところが、医師の口から「横隔膜の方まで広がっている」という言葉が飛び出したものですから、その説明で一気に怖くなってしまいました。
それまで病気とは無縁。大病の経験がなく、入院すらしたことがありません。それなのに、いきなり体を切って、想像以上の広い範囲で臓器を取り出すという説明を受けたのも衝撃でした。
さらに、手術時間も最大で8~10時間かかるとの説明。そんなに時間がかかる大変なものなんだ……と思いました。
手術で初めてがんであることを受け入れる
実は最初、自分のがんをまるで他人事のように感じていました。診断を受けたときも泣かなかったですし、冷静・客観的にさまざまな情報を集めていたような気がします。でも今考えると罹患を認めたくなかったんだと思います。医師からは手術してみないとわからないとも言われていましたし、自分は軽く済むんじゃないだろうかと、どこか楽観視したい気持ちがありました。
いよいよ手術という段になって、初めて自分ががんだという事実を受け入れられました。
手術を経て、医師から腫瘍がどれくらいの大きさだとか、写真を見せられたことで、卵巣がん罹患の現実を突きつけられ、そのときは人知れず泣いてしまったのを思い出します。
麻酔から目覚めた時、日が暮れていなかったことがつらかった
一番つらかったのは、手術が終わり、麻酔から目が覚めたとき。病室から見える窓の外がまだ明るかったことです。
手術は朝一で始まりましたが、もし8〜10時間かけ摘出手術までやることになっていたら、目が覚めたときには日が暮れかかっていたでしょう。
寝覚めたとき外がまだ明るいということは、最初の手術では全部取りきれず、2~3時間の開腹手術で終わった、ということを意味していました。一回で終わってほしいと考えていた私は、そのことが一番つらく、そこでも泣いてしまいました。
がん相談支援センターを利用。不安を吐き出しすっきり
入院中に、院内のがん相談支援センターを利用することがありました。利用を希望したところ、すぐに相談に乗ってもらうことができました。
看護師さんに、腹膜播種があり思った以上に病状が進行してショックだったことを聞いてもらったり、今後についてアドバイスをもらったりしました。
明確な答えは出ませんでしたが、不安だったことを聞いてもらえることに意味があり、すっきりしたところはありました。100%とはいえませんが、40%ほどの不安は解消できたと思います。
手術から2週間ほど入院しました。その間、軽い問診を受け今後の方針について聞いていましたが、退院する前日に夫に来てもらい、改めて一緒に今後の治療方針について説明を受けました。腹膜播種があり、腫瘍を取り切れなかったため、化学療法(抗がん剤治療、分子標的治療)を続けていき、その後再手術を行う、といった説明でした。
8月下旬の退院後、通院時の問診の際、書面でステージⅢCと告げられました。