※本記事は、患者さんの体験談であるため、具体的な病状や治療法なども出てきますが、あくまでも個人の例であり、病状や治療効果は、個人差があります。すべての患者さんへ適応できる状況、効果を示すものではないことを了承ください。
膀胱がんの手術後見つけた、患者サロンのチラシ
2013年6月、抗がん剤治療 と放射線治療を経て行った手術では、膀胱全摘とストーマの装着、右そけい部のリンパ節郭清をしました。腎盂がんのとき以上の大手術で、術後に血栓症、リンパ浮腫、腸閉塞を発症し、トータルで1年ほど休職することになりました。
入院中、壁に貼ってあったチラシを見て、がん患者向けのサロンがあることを知りました。サロンってどんなところだろう。がんについて少しでも参考になる情報があればいいな。そんな思いで参加してみることにしました。
自分の居場所と感じられた患者サロン
サロンに初めて行った時、がんで膀胱を全摘された方が自分の体験を話しておられました。話を聞いたあとに、膀胱全摘後の生活や気を付けることなど質問してみました。わずか10、20分ですが、実際に経験した人から話を聞くだけで「そうなんだ!」と、疑問に思っていたことについてよく理解できました。
がんは日常会話ではなかなか話題にしにくいテーマだと思います。しかし患者サロンでは「がん」という言葉が飛び交っていて、今まで私がいたのとは違う世界が広がっているような気がしました。患者サロンに参加すると、「私の居場所がある」と感じられました。
私が参加した患者サロンは、病院とNPOが共催しており、医療従事者やNPOのボランティアも来ていました。患者サロンは、みんなが同じ話題で気兼ねなく話せる、がんを話題にできる場所です。すごく居心地のいいところで、入院中はサロンが開催される毎週火曜と金曜に通っていました。患者サロンに参加して多くの人と出会い、たくさんの体験談を聞きました。その出会いは今でも私の宝になっています。
自分の経験が人の役に立つと感じられた
あるとき、患者サロンの集まりのなかで「須佐さんはこんな場合、どうしますか?」と話を振ってもらいました。私の返答を聞いた方々から「話を聞いてよかった」「すごく勇気をもらえた」などの言葉をいただきびっくりしました。
がんは誰しも経験したくないこと、嫌なことですよね。ですが、その経験を思い切って話すことが、人の気持ちを楽にできたり、役に立ったりするんだということに、サロンでの経験から気づきました。よく「どんな経験も自分にとって損にはならない」と言いますが、がんという大変な経験も、私を高めるためのものだったんだな……と。患者サロンでの経験から、そう思えるようになりました。