肺転移の抗がん剤治療前に受けたセカンドオピニオン
※本記事は、患者さんの体験談であるため、具体的な病状や治療法なども出てきますが、あくまでも個人の例であり、病状や治療効果は、個人差があります。すべての患者さんへ適応できる状況、効果を示すものではないことを了承ください。
二度のがん告知よりショックの大きかった肺転移
膀胱がんの手術後、3ヶ月に1回造影剤を使ったCTを撮影し、経過観察をしていました。しばらく落ち着いていたものの、膀胱がんの診断から4年後の2017年3月、左肺の下葉にがんがあることが分かりました。
いつもは軽い冗談を言っている主治医が、神妙な面持ちでCT画像を指さして「須佐さん、ここにあるよ」と言ったのを覚えています。1ヶ月半前に撮ったCTも見せてくれて「前は5mmだったけど、今は1cmだよね。5mmだと血管とかかもしれないけれど、ここまで大きくなるとがんで間違いないだろう」と告げられました。
その後すぐ、肺担当の外科に回されました。外科ではまずPET-CT検査を受けました。検査では肺以外のほかの部位にがんは見つかりませんでした。
本来はがん細胞を採取して原発か転移かを判断するそうですが、私の場合病変部が横隔膜に近く、細胞を採取するときに横隔膜を傷つける危険がありました。そのため、病変部を切除する手術を受けて、病理検査が行われました。この病理検査で膀胱がんの肺転移が確定しました。腎盂がん、膀胱がん、肺転移と三度のがんを経験しましたが、この転移がいちばんショックでした。
その頃には自分で調べたり、がん患者のサロンで学んだりして、がんの知識も増えていました。再発や転移はステージ4ということも知っていました。転移と聞いた時には、知識があるだけにこれまでより感じるショックも大きかったですね。
ショックはあったが、大きく落ち込むことはなかった
ショックは大きかったけれど、気持ちの落ち込みはそこまででもなかったですね。元々、リンパ節に転移していたことから、他の臓器への転移の可能性があると理解していました。ですから、いずれその時が来るかなと多少覚悟していたところもありました。
肺転移を告げられた日、サロンで転移したことすぐ話したので、ひとりで考え込んで落ち込む状況ではなかったのもよかったのかもしれません。
サロンに来られる方には、ステージ4の人もたくさんいます。肺転移を告げられる前、ステージが進んだ方の話を聞いた時は、「大変だな……」と思っていました。
しかし、いざ自分がそうなった時には、想像していたほど大変なことだとは感じませんでした。ショックは大きかったけれど、落ち込みが少なかったのは、自動車でいう「ショックアブソーバー」が私の心の中にできていて、衝撃をやわらげてくれたからだと思います。知識が増えることで、転移などもあるかもしれないと想定し、自然と心構えができていたのだと思います。
経験して感じたセカンドオピニオンの重要性
2017年3月に病変部を切除する手術を受けた後、ゲムシタビンとシスプラチンという抗がん剤を併用するGC療法を受けることになりました。
がんの病変部位を切除した上に抗がん剤治療を受ける必要性があるのか疑問があったので、主治医に相談して、治療開始前にセカンドオピニオンを受けることになりました。
主治医にセカンドオピニオンを受けてみたいと伝えた時も、普段から主治医とはコミュニケーションが取れていたのでスムーズに進みました。通院している病院から、セカンドオピニオンを受ける病院に資料を送ってもらえました。
セカンドオピニオンの医師とは1時間ほど話しました。主治医と同じことを言われたのですが、時間をかけて詳しい説明を受けたことで、納得することができました。セカンドオピニオンを受けて、方向性が適切だと知った上で抗がん剤治療を開始できたのはよかったです。
セカンドオピニオンの医師からは「全身に膀胱がんの細胞が散らばっている可能性が高いので、転移がまたあると思っていたほうがよいでしょう」と言われました。体中にあるかもしれないがん細胞はまだ小さいので、GC療法を受けると効果的だということを説明してもらいました。
セカンドオピニオンは、保険がきかないので実費にはなりますが、実際に経験してみて、複数の医師の説明を聞けるので、できれば受けたほうがいいと思いました。自分が納得した上で治療を受けることが大切だからです。
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2005年3月
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2013年2月
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2012年6月
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2013年7月
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2017年3月
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2023年6月
46歳の時、1年ほど続く血尿の原因を結石だと考え医療機関を受診したところ、腎盂がんが発覚。以後、膀胱がん、肺への転移と計3回のがん治療を経験。(インタビュー・掲載時の情報です)