初診当日に即手術。心の準備はできていた
病院選びに関しては、アクセス面の利便性を第一優先に考えました。精巣腫瘍であれば、どの病院でも治療に大差ないかと思い、あまり迷うことなく、家から電車一本で通える大学病院に決めました。
2011年5月24日、初診を受けるため自分で選んだ大学病院へ。午前中に受付を済ませると、改めてエコー検査を実施。検査結果を見た医師から「これは手術だね」と。さらに「もし、今日やれるのであれば、今から手術しませんか?」とも提案され、自分も「お願いします」と迷うこともできずに即答。思いがけず、そのまま手術、入院の流れになりました。
おそらく私も早く手術をして欲しかったんだと思います。違和感を感じてからだいぶ時間も経っていましたし、睾丸も当初よりずいぶん大きくなっている気がしていたので。また、精巣腫瘍で亡くなった人の話を聞いたことがあったのも、早く手術を行いたいという気持ちにつながったかもしれません。心の準備は既にできていました。
上司には手術が決まってすぐ連絡をしました。端的に「今から手術することになりました。しばらく入院することになります」と電話で伝えて、あとは事務的なやりとりだけ。すぐに職場復帰できると思っていたので、特に何か相談することはなかったです。休みについては、ありあまるほどあった有給で対応しました。
妻にもすぐに電話で連絡。ちょうどその日、妻が大阪から東京に来ることになっていたので、いつ東京に着くのかなど聞きました。入院準備や同意書へのサイン等々、お願いしなければいけないことが多々あったので細かいやりとりをしていましたね。
緊急手術。医療スタッフの連携力に感心
手術は夜の9時くらいから始まったのですが、会社や家族など関係各所への連絡、医師からの手術説明、同意書へのサインなど、結構やることがあったので、当初の予定より3~4時間遅れましたが待ったという感覚はあまりなかったです。
それよりも、突然の緊急手術に卒なく対応する医師、看護師、医療スタッフの連携力の高さに感心しました。どの病室ですとか下半身麻酔で手術をおこないますとか、これからご飯は食べないようにしてくださいとか。医療従事者の方からすれば当然の事かもしれませんが、その日決まったばかりの手術だというのに皆さん落ち着いているんですよね。その姿を見て、安心して任せられると思いました。チーム医療とよく言われますが、本当にワンチームという感じでしたね。
手術自体は一時間程度で終了。夜の11時には全て終わっていた気がします。
下半身麻酔だったので手術中も意識がありました。手術を行っているスタッフの会話も聞こえましたね。ただそれよりも手術室が寒かったのが印象的でした。この後、病室に戻されたのですが、麻酔が切れた後は痛みが強く出て、眠ることができませんでした。
入院。同僚達に気づかれることなく職場復帰
術後の病理で精巣腫瘍はセミノーマ(精上皮腫)と判明。手術後は1週間程度、定員6人の大部屋に入院しました。あくまで術後の経過観察のためで、退院時には十分に日常生活を送れるレベルに回復していました。術後創部の痛みもその頃にはほぼなかったです。
手術で切開したのも、鼠径部を5㎝程度。そこから精索と精巣を摘出しました。多少の違和感こそありましたが、レーザーによる創部の接着だったので術部の回復は早かったです。
術後には医師から、放射線治療をするかどうかを聞かれました。医師の説明によると治療をしても再発リスクはそこまで低くならない。転移がある場合は1年〜1年半の間に見つかるでしょうと。まず、8割9割転移はないだろうという話もあったので、医師にはやらないと伝えました。この後、転移が見つかるのですが、それもまあまあ予想の範囲内だったかなという感じでしたね。
退院後は、経過観察で3か月ごとのCT検査のために通院。入院期間も短かったので、そのまま職場復帰をしました。職場も含め周囲の方々は自分ががんへの罹患に気付いていなかったと思います。