がんに罹患した自分だからできること。ピアサポーターとして活動している
がんに罹患したことをきっかけに、今ではピアサポーターとして活動しています。ピアサポーターは、がんになったばかりの人や治療中の人、がん患者を支える家族に対して、仲間として支援する人のこと。このような活動を始めたきっかけは、同僚からがん関連の相談を受けるようになったからです。せっかく相談してくれているのだから適切なアドバイスがしたいなと、改めてきちんと勉強しなければと思いました。
私が現在所属している団体では、がん患者さんの他に医師や看護師などの医療関係者も所属しています。毎回、テーマが設定された勉強会を開催しているので、他では得られないような学びがあります。参加しているメンバーは複数の団体に入っている人が多く、メンバーを介して様々ながん患者コミュニティとつながっていきます。
企業と個人はもっと連携しなければいけない。支援活動をする中で気づいたこと
がん患者コミュニティの活動に参加し、乳がんの患者さんの体験談を伺っている中で、下着に困って結局自分で手作りされる方が多いとの話を聞きました。その話題の中でどうして大手の下着メーカーは真剣に立ち上がらないんだという話に。自分は下着メーカーさんががん患者向けの商品を出していることを知っていたので、その旨を伝えましたが、患者サイドから見れば、困っている人に情報が伝わっていなければ意味がないと、大々的に取り組んでいない時点で真剣さを欠いていると、そう感じているようでした。
患者サイドも企業の発信している情報をきちんと取れるように努力しなければいけないとも思いますが、他方で企業サイドも患者に向き合ってきちんと声を拾って欲しい。相互理解も含めて企業と個人はもっと連携していかなければいけないと思います。
一人で悩まないでみんなに相談してほしい。ピアサポーターの立場から
ピアサポーター活動をしている立場から、がんに罹患した方にお伝えしたいことは、「一人で悩まないでみんなに相談してほしい」ということです。よく言われることですが、まだまだ自分一人で抱えてしまう方が多いのが現実。がん患者のサポート団体は身近にたくさんあります。まずはそういう場所に足を運んで欲しいですし、悩みを伝えて欲しい。先ほどの乳がん患者の下着の話などは同じ経験をした方がたくさんいて、解決策もある。先輩から学べること、助けてもらえることはたくさんあります。
私の考えではがん治療において、病院選びは非常に重要。しかし地域格差や情報格差などの課題もあります。一人で悩みを抱えこんでしまうと、まず病院に足を運ぶという最初のスタートが遅くなり、治療の開始も遅れてしまう。格差の問題を少しでも解消するためにも、がん支援団体を積極的に活用してほしいと思います。
がんは治療中だけではなく、治療後の生活にまで影響が及ぶもの。治療後の生活についても情報交換することで、生活面でも気持ちの面でも楽になるはずです。ピアサポーター活動している立場から、サポート団体とつながりましょう、気軽に相談にきてくださいということを積極的に呼びかけていきたいと考えています。