2010年2月、術後5ヶ月目からホルモン療法と並行して、分子標的薬の治療を始めました。
手術をした病院では抗がん剤専門の看護師さんがいたので、気になることは何でも相談できました。以前、抗がん剤の副作用で便秘に困っていた時も「全く出ない?柔らかくする薬が欲しい?」といった聞き方をしてくれました。ちなみに治療している最中に看護師さんがまわってきてくれるので、気になることがあればその時に相談していましたね。何でも相談できる環境があるというのは、患者の立場からとてもありがたかったです。
ベッド10床、リクライニングシート3つ、自分の治療の時にどの場所になるかはわからなかったのですが、私は年齢が若いほうだったため、混んでいる時にはすすんでシートを選択しました。ベッドのほうがテレビが一つずつあって暇つぶしにはそちらのほうが良かったのですが……。
社会との接点を持ちたい。治療と並行して転職活動を開始
分子標的薬の投薬自体は、治療方針決定の際、決まっていましたが、治療と並行して2010年2月から転職活動を開始しました。その頃は髪の毛が生え揃いベリーショートになったタイミング、これなら働けるなと。家族にはもっとゆっくりしていればいいのにと言われましたが、早く社会復帰したかったですね。家族に甘えてばかりもいられませんし、社会との接点が必要だと考えていました。もう病人ではない!普通の人と同じ!という意識もあったので、自分の中で転職活動を始めたのは自然な流れです。
とはいえ面接ではどのタイミングでがん患者であることを伝えるべきか悩みました。当初は一次面接で伝えることをしませんでした。隠すというより聞かれなかったから答えなかったという感じで、いつかは言わなければと思っていました。ですが感触が良かった企業の最終面接でがん患者であることを伝えたら内定が頂けなかったんです。その一件もあり、どのタイミングで伝えるべきか改めて考えましたが、よくよく考えれば入社前に健康診断を受ける企業も多いですし、いつ言ってもあんまり変わらないなと。であれば最初に言おう!そう決めて臨んだ面接が通過、最終的にその企業から内定をいただき無事就職先が決まりました。
全部で4〜5社受けたのですが、仕事を探す際は地域新聞の求人欄や転職サイトを主に活用しました。転職エージェントやハローワークを使わなかったのは、自分の病気について第三者に伝えたくないという気持ちが強かったこともあります。
仕事をしながら分子標的薬治療を行うため転院
本当は主治医のいた病院内で分子標的薬の治療を受けたかったものの、土日の診療をやっていませんでした。再就職先でいきなり平日に仕事を抜けるわけにもいかないと思い、病院から紹介されたあるクリニックで分子標的薬のみ受けることに。
分子標的薬は3週間に一度の通院で点滴を受けました。残念なことに新しい病院の治療方法は私には合いませんでした。一刻も早く主治医の元に戻りたい。転職から3ヶ月、元の病院に戻ることを真剣に考え始めました。
とはいえ元の病院に戻るには平日に仕事を抜ける必要があります。自分の判断だけでは決められません。ですからある日の終業後、意を決して上司に相談したんです。転院先が合わないこと、主治医の元に戻りたいこと。すると3週間に一度、半日くらいなら抜けて治療して構わないと言われ、良い意味で驚きました。当初は有給休暇の使用も考えていたので相談して良かったです。結果的に、平日の分子標的薬の治療は、仕事に復帰しながら合計で6ヶ月間続きました。