左肺の定期検査の過程で右肺にも異変がみつかる
半年ごとに検査を続け、左肺がんの発症からちょうど6年目に入った2017年11月のこと。気になる所見が見つかり、1ヶ月後に再検査となりました。そして、12月に検査をしたところ、「たぶんがんだと思う」と先生から検査結果を告げられ、1ヶ月後の2018年1月に手術となりました。
右肺もがんかもしれない。「またかよ!」という気持ちだった
がんがわかったときは、ショックというよりも「またかよ!」という気持ちでした。3回目のがんなので、意外性の方が大きかったです。原発か転移かは、手術後に判明。結果としては原発性の腺がん、左肺のときの扁平上皮がんとは異なる種類のものでした。右肺は上から上・中・下と3つに分かれているのですが、今回は右肺の下葉のがんで、ステージは1b。抗がん剤治療は行わず、手術のみ。6日ほどの入院で済みました。1月27日に退院して3日後にはフルタイムでの職場復帰。傷口は医療用ボンドでとめている状態だったので、手術跡の痛みはありましたが、痛み止めのお陰で仕事への影響はあまりありませんでした。手術後は3ヶ月に一度、今でも半年に一度の定期検査を継続しています。
3回目のがんの時も、同僚が休暇中の業務を分担して対応してくれました。僕の場合、2回目のがん以降は定期検査で早期発見することができたので、手術による切除部位が最小限で済んだことが幸運だったと思います。
「再発」という言葉が今は一番怖い
発病してからはずっと「なんとなかるかな」という気持ちでやってきました。3回すべて原発性のがんだったので、今はがんの再発が正直とても怖いです。再発だけは経験がないので、再発したときに自分が何を思い、どう感じるのか、まだ想像がつきません。それぐらい、いつもはがんを意識することなく生活できているということでもあるのですが、再発防止のために健康的な生活を送ることは、今後も心がけていきたいです。
人間ドックはがんを見つけられる検査ではないかもしれませんが、病気の端っこを見つけるという意味では、効果がある検査だと思います。僕も1回目の肺がんと2回目の膵臓がんは人間ドックで早期発見に至りました。
定期的に健康診断等(健康診断、検診、人間ドック等)を受けている方でも、半分ぐらいの方は異常がみつかっても再検査をすることなくそのまま放置しているという話を聞いたことがあります。僕も1回目の左の肺がんのときは、人間ドックが終わってから2〜3ヶ月放置してしまったので、あのときもっと早く受診していればよかったと今でも後悔しています。あのとき職場のメンバーが、咳がひどいから病院に行って検査した方がいいと何度も行ってくれたからこそ、がんを見つけることができたし、今も仕事を続けられています。自分は健康だと思っていても、定期的に健康診断等を受け、異常がみつかればしっかり再検査を受けることの大切さを全ての人にお伝えしたいです。
病院選びは慎重に行うべきだと思う
がん治療では、どの病院のどの先生にかかるかで、治療方針が大きく変わります。両肺の手術を行った今でも、ジムで運動をしたり、趣味のバイクを楽しんだりしていますが、病院選びを間違っていたら、もしかしたら今のような生活を送れていないかもしれません。どの先生に治療をしてもらうかはその後の生活の質を大きく変える可能性があるということを痛感しました。病院選びは慎重に行うべきだと思います。
闘病中は、知人、友人、会社の上司、先輩、同僚、後輩、多くの方々にささえてもらいました。また、同じ病気の方の闘病記や体験記にたくさん勇気をもらいました。辛い感情を吐き出すことができず、一時はマイナスの感情に支配されそうになりましたが、他の方の闘病記を読んで辛いのは自分だけではないと思えたことで、辛い治療を乗り越えることができました。今度は僕が恩返しをする番です。この体験記を通して、多くのがん患者やがん経験者の方の励みとなれればと思います。
右肺がん
2011年、札幌に単身赴任中に左肺がんの告知を受ける。以後、2013年に膵臓がん、2017年に右肺がんと3度の原発性がんを経験。闘病生活を支えてくれたのは、人とのつながり。がん患者の体験談や闘病記は、この痛みを感じているのは自分だけではないことを、職場復帰は自分の存在を受け入れてくれる居場所があることを教えてくれた。