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2013年8月 膵臓がん

6月末に受けた人間ドックで異常が見つかる

職場復帰からちょうど2年後、人間ドックで血液検査を受けたところアミラーゼの値が高く、再検査となりました。がんの転移かと思って、肺がんの治療を行なった病院の消化器内科を予約、7月頭に受診しました。

外来で検査をしたものの、結果は所見なし。ただ、検査を担当した先生が「肺がんの既往歴があるなら念のため別の検査も受けておきましょう」と提案してくださり、その後の検査で、ごく初期の膵臓がん発見に至りました。僕は説明されても全くわからなかったのですが、先生に「膵臓の管がちょっとだけ細くなっているところがあるから、その原因が何なのかを調べましょう。ただ、少しリスクのある検査なので、入院の必要がありますけどいいですか?」と言われました。

肺がんをやっていなかったら、この検査自体はきっと断っていたと思います。そのときは肺がんの転移がとにかく怖かったので、入院をしてでも詳しい検査を受けることにしました。

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10日間入院をして膵臓の検査を受けた

8月16日から25日にかけて検査入院をしました。実際に検査をする前後は絶食になると聞いていたのですが、検査によって膵臓が炎症を起こしてしまい、炎症が治まるまで暫くは絶食することに。その後、徐々にお粥から普通食へと戻していきました。

肺がんを経験したことで今までであれば断っていたであろう検査を受けた。

原発性の膵臓がん。ショックのあまり、トイレで泣いた

肺がんからの転移を最も恐れていた一方で、最初の検査では所見なしだったこともあり、無事に終わるんじゃないか、という期待もありました。ところが退院2日後に病院から連絡。次の予約日よりも早いタイミングでの呼び出しに、肺がんからの転移か再発のどちらかだろうと予測しました。

病院には一人で行きました。先生からは原発性の膵臓がんと告げられ、僕は肺がんからの転移ではなく、原発性のがんだということにすごくショックを受けました。原発性ということはたった2年の間にがんに2回もなってしまったということ。告知を受けたときは「なんで2回もがんにならなきゃいけないんだ!」という、やり場のない気持ちでいっぱいでした。1回目の肺がんよりも、2回目の方が受けたショックは大きかったです。

家族には帰宅後すぐに膵臓がんであることを伝えたはずなのに、どうやって話したかは全く思い出せません。それぐらいショックを受けていたのだと思います。泣いているところを家族には見せまいと、風呂場やトイレに隠れて一人で何度も泣いたのを覚えています。

告知からおよそ1ヶ月後に手術を受ける

8月30日、告知された翌日に検査を受けて、9月1日から入院しました。いくつか検査を受けて手術に備えていたのですが、なかなか手術の空きがなかったこともあり、9月12日に一度退院。10日ほど自宅で経過観察、9月24日に再び入院となりました。

手術は27日に行い、膵臓の体部と尾部、膵臓に繋がる脾臓を切除。幸いインスリンの分泌に関わる膵頭部分を残せたので、今後注射によるインスリン投与も必要なく、僕の場合は生活面への影響が少なかったです。

膵臓がんの告知を受けたときは、やり場のない気持ちでいっぱいに

肺がんのときと同様、なるべく歩くよう言われていたものの、手術の際の開腹術で腹部を切った影響から腹筋に力が入らず、術後に初めて起き上がったときは、看護師さんに抱きかかえてもらいながらやっと起き上がれるような状態でした。傷口の痛みと同時に、手術したところが開いてしまうのではないかという恐怖がありました。

左肺の手術に比べ傷の痛みは大きかったですが、その痛みは短期間で引きました。手術前の検査や本番の手術を含め、膵臓がんの入院日数は47日間と長期。職場ではがんの告知を受けたタイミングで上司にもすぐに報告、2回目ということで手術や抗がん剤治療を含めて、部署のメンバーにもすべてオープンに話していました。

精神的に不安定な状態が続く

膵臓がんの事実を受け入れるのに、かなりの時間を要しました。術後の自宅療養中は、自分の居場所や存在意味への不安が強く、精神的にも不安定な状態が続きました。最初の肺がんの時に突発的に自殺をしてしまう人の話を妻から言われた時はあまりピンとはこなかったのですが、今回はわかる様な気がしました。ただ、自分にとっては2度目の経験、家の窓を開けて深呼吸をしたり、近所を散歩したりして自分から積極的に気分転換をはかるようにしました。

この頃は仕事の重要さも改めて実感。仕事に取り組むことで日常生活に戻れるし、自分の存在を肯定することもできます。働くことの意味合いの大きさを改めて感じましたね。他には同じ病気の方の体験記や闘病記を読んで、心の支えにしていました。

体調面での術後の変化としては、食べ過ぎたときは、腹部に少し痛みが出ることがありました。膵臓や脾臓をとってできた隙間に腸が落ちるので、食べた物が通ると痛むのだそうです。食事制限などは特にないのですが、脂っこい物は膵臓に負担をかけるため、食べ過ぎないようにしています。あと野菜が嫌いだったのですが、今ではなるべく食べるように努力しています。

服薬による抗がん剤治療。日常生活に大きな支障はなかった。

早期発見だったこともあり、再発防止を目的とした術後の補助化学療法として飲み薬での抗がん剤治療を受けました。先生から「今の薬は本当に良くなってきていて、服用している間はがんをコントロールできるとの考え方があるんですよ。コントロールできるのであれば、再発のリスクをだいぶ減らせると思うので頑張って薬を飲み続けましょう」と言われました。

1ヶ月に1回通院して、副作用の出方を見ながら投薬。月曜から金曜日の朝晩で服薬していたのですが、肺がんの抗がん剤に比べて副作用はかなり軽かったです。服薬終了は2018年10月、投薬期間も3〜6ヶ月の間隔で定期的に検査を行いました。

実際に出た副作用は、胃のむかつきと口内炎、皮膚への湿疹と下痢ぐらい。その症状を抑える薬も処方されていたので、日常生活に支障はありませんでした。服薬中の抗がん剤についても何冊か本を読んだのですが、同じ膵臓がんの方の中には、食事ができないくらい気持ちが悪くなって服用を中止したというケースも。僕の場合は飲み続けられたことを考えると、薬が身体に合っていたのだと思います。


抗がん剤治療を続けながら仕事を続けた

9月末に手術を行い、11月初旬から服薬による抗がん剤治療を開始。11月の中旬からは無事に職場復帰を果たしました。幸い主治医の先生が土曜日の外来だったので、仕事に支障をきたすことなく、月に1回の通院治療を続けながら仕事を再開。3〜6ヶ月に一度の定期検査のみ、半日仕事を休んで通院しましたね。

 

がんを経験された個人の方のお話をもとに構成しており、治療等の条件はすべての方に当てはまるわけではありません。
 

Hatch Healthcare K.K.

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