実績のある病院がいい、でも早く治療を受けたい…悩みに悩んだ病院選び
熊本に残るか、大阪に戻るか。病院選びで悩んだ
どこの病院で治療を受けるかはかなり悩みました。
確定診断を受けた総合病院は、大腸検査をしたクリニックからの紹介。自分で選んだわけではない病院でこのまま入院、手術をしていいのだろうかと。紹介された病院が自分にとって最適な病院であるかを、一回立ち止まって考える時間が欲しかったです。
同じ熊本でも、より大腸がんに強い病院があるかもしれないし、まだ転勤したばかりだったのでその当時なら地元の大阪に帰る選択肢もある。症例数などを調べてみると、大阪の病院も魅力的に見えてきました。まだ転移の可能性も残っているし、仮に転移しているのであれば、症例数が豊富で実績のある大阪の病院で治療を受けた方がいいのではないかとも思うようになりました。
ただ、これは自分だけの問題ではありませんでした。もし私が大阪で入院・治療を受ければ妻と子どもの生活にも影響が出ます。子どもたちは転校したばかりですし、家族は新天地での生活に慣れ始めていたタイミング。単純に自分が大阪の病院で治療を受けたいからといって、大阪へ戻るとは簡単に言い出しにくい状況でした。
病院選びで悩んでいることを今の主治医に正直に相談した
実際に、大阪の病院には2件ほど問い合わせました。どちらも初診を受けるまで2週間、3週間と、すぐに診てもらうのは難しい状況。仮に2〜3週間待ったとしても、そこから再び検査を行って入院、手術と考えると、治療の開始時期が1〜2か月は後ろ倒しになるのでどうしたものかなと。一方、熊本の病院であれば2週間後くらいには入院ができ、待つことなく手術もできるとのことでした。
私は悩んでいることを正直に熊本の医師に伝えました。先生は年齢も近く物腰の柔らかい方。検査結果の際にも丁寧に説明してくださったので、相談する上での心理的なハードルも低かったです。普段から冗談を言いながら色々と話をされる医師で、その人当たりの良さが個人的には相性が合っていたと思いますし、私自身、先生に対して信頼感がありました。
医師からは、自分や家族にとってベストな場所で治療されるのがいいですよ、と。私の場合は1、2か月経過したところで大きく状況が悪化することはないらしく、大阪の病院を選んでも大丈夫じゃないか、といったことを言われました。
悶々と悩み続けた日々。決め手は早く治療を受けたいという気持ち
医師の説明を受けて、熊本と大阪、どちらを選んでも問題ないと分かってからも、それでもどうしようかと悶々と悩んでいました。自分だけで決められることではないので、妻や大阪に住む両親にも相談をしていました。
最終的に、早く治療を受けたいという気持ちが勝り、当時通院していた熊本の総合病院で治療を受けることに決めました。術後の病理検査までステージが確定しないので、それまで不安を抱え続けたまま日々を過ごすことが私にはできそうにありませんでした。医師との信頼関係も十分過ぎるほどにありましたし、熊本のこの病院で治療を受けようと決断しました。
最後まで迷っていたのは、転移があった場合に執刀数が豊富な大阪の病院の方が良かったのでは?と後悔しないかどうかの一点だけでした。
入院直前に新しい上司が着任。私のがんを知らず互いに困惑も
病院が決まったので、それに併せて入院・手術のスケジュールも決まりました。
上司には改めて治療方針を伝えた上で休暇申請を行い、同僚にも入院するために長期休暇を取る旨を伝えました。同じ営業職のメンバーには会議の席で、他のメンバーには朝礼の時に話をしました。
メンバーからは「私の親も大腸がんでした」「ゆっくり休んできてね」など励ましの言葉をもらいました。メンバーに伝えることができたので安心して長期休暇に入れると、胸をなでおろしましたね。
ただ、明後日から入院するというタイミングで上司が変わり、お互いに困惑したことを覚えています。新しい上司は私ががんに罹患していることは知らなかったので、驚かれていました。私は私で、明日から入院のために休みます、すみません…となんだか申し訳ない気持ちになりました。
2014年5月に転勤先の熊本で大腸がんの告知を受ける。地元の大阪と転勤先の熊本で治療を受けるか悩むも、信頼できる熊本の医師のもとでの手術を選択。罹患後の体調から営業職から内勤職へ配置転換。がん罹患経験は、家族のあり方を見直すいい機会になったとのこと。