私の場合、治療を受けること以上に入院に対して不安を感じていました。
実は、母親が他界してから現在に至るまで、私には身寄りがいません。入院時に記入を求められる緊急連絡先に誰の名前を書くべきか、本当に悩みました。
そもそも書く必要があるのか、病院の方に確認したのですが、「こればかりは書かざるを得ない」の一点張り。身元保証人は必要ないと仰ってくださいましたが、最低でも一人は連絡先を書いて欲しいと言われました。
病院側の主張は当然といえば当然です。ただ、今後高齢化に伴いおひとり様も増えていくでしょうし、個人的には何かしらの柔軟な対応があればありがたいなと感じました。
緊急連絡先には従姉妹の名前を記入。手術の立ち会いも依頼
身元保証人は書かずに済んだものの、緊急連絡先は書かなければならない。
結局、緊急連絡先には従姉妹の名前を書きました。
従姉妹と言っても、母の葬儀で10年ぶりに再会した際連絡先を交換していた、付き合い程度の仲です。やむにやまれず、その葬儀以来久しぶりに連絡を取ることにしました。彼女も乳がんの罹患経験があるため私の事情を理解してくれたようで、快く引き受けてくれ、本当に助かりましたね。
それから先も入院時や抗がん剤治療の際、家族や親族などの立ち会いを求められることがあったのですが、さすがにそれはできないと病院に対してきっぱりと断りました。従姉妹にだって日々の生活があります。平日の日中、毎回毎回私の治療に立ち会ってもらうわけにもいきません。でも手術のときだけはどうしても、ということで、その時だけは諦めて立ち会ってもらいました。
会社への連絡に家のガスや電気……。入院時の不安は尽きなかった
入院時の不安は、緊急連絡先以外にもあります。
会社に対しての連絡もそうでした。もし自分にもしものことがあったら どうなるんだろう。会社の側からすると、連絡が取れず行方不明の人みたいになっちゃうのかな。こんな調子でした。
私は会社に勤務し社会保険に加入していますので、いずれ私がどうなっているかは分かるのかもしれませんが、自分の言葉で職場の人に伝えられないとなると、職場にはどうやって伝わるのか分かりません。
家のことも気になりました。
これまで海外旅行で2週間ほど家を空けたこともありました。入院が長引かなければ問題ないとは考えていましたが、その一方でもし、家に戻れないような事態になったらどうしようかと思っていました。そこで、今回ばかりは手術当日、立ち会ってくれた従姉妹に家のことをまとめた手帳を託し、
「直近のガスとか水道の領収書がここに入ってるから、もしものことがあったらお願い」
と、告げたのです。
彼女は縁起でもないこと言わないでよといった感じでしたが、一応それだけはちゃんとしておこうと思って、言っておきましたね。